最初のページに描かれている主人公「私」の表情は
どこかおどけているようにも見えますが…
これは 見せかけの笑顔で
本当の「私」の表情は ページをめくったそこにありました。
最初から最後まで
逃れられない悲しみと向き合い続けるしかない
「私」の暮らしぶりが綴られています。
どこにいても 何をしていても
突然「私」に襲いかかってくる悲しみが
とても痛々しく感じられます。
最愛の人を失った悲しみは これほど深いのか…と思うと
たまらなくなり涙が出そうにもなりました。
最後の場面の「私」は
ろうそくの灯火を見ながら 何を感じているのでしょうか。
心の中に ぽっかり穴が開いてしまったような
虚しい気持ちで 炎をただ見つめている…
それだけのようにも感じ
悲しみは まだまだ「私」を支配し続けるだろう
という予感が残る終わり方でした。
時間が経過しても癒されない悲しみもあるのかもしれない…
と想像させられたりもしました。