1978年に発行された子ども向けの経済学入門、レベル2。前作は個人商店を取り扱ったが、今回は一つの地域全体の経済の動きを、レモンの値上がりを中心に解説。巻末には訳者の解説もあり、子ども〜経済初心者の大人まで十分に楽しめる絵本。
原料のレモンが異常気象により大打撃を受け、レモネードの値段が上がる→みんな飲みたいので、それぞれの仕事の報酬額をあげる→物価が高くなり、仕事がなくなっていく。→物価や賃金をどうにかしようとするが結局大不況になる→景気対策をする→景気が回復する!という、ハッピーエンドを迎える。
だが、我々大人は、失業したり、仕事が減ったり、売り上げが減って生活の心配をしたり、税金が上がったり…いろいろな現実を体験しているので、この絵本の場面の1つ1つに心をかきむしられ、涙する。
レモネードの屋台でジョニーがレイオフ(一時解雇)された場面など、失業を経験した私は切なくて切なくて…
しかし、絵本では割と単純な景気対策であり得ないくらい景気が回復してしまう。レモネードの屋台が改装され、「チェーン店募集」なんて看板が出て、カウンターまでできて、やりすぎ。放漫経営は身を亡ぼすが、ここの経営者(女子)はなかなかのやり手なので、どうにかやっていけそうな気がする。女は強し。
表紙がまたふるっている。レモンのジェットコースター。人生の上り下りとレモン次第という事実を示唆しているようで、考えさせられる。
この子たちのそれからが見たい。