私は勝手に、この『フレデリック』と『おんがくねずみ ジェラルディン』、
『マシューのゆめ』はレオニの芸術三部作だと思っています。
それは単に、質ではなくて内容が芸術に関するものを扱っているからです。
この本では、人が満足を感じるには、食欲や物欲などで満たされる物質的満足
と文化的なことに対する精神的な満足があるということを、レオニは言いたい
のではないかと思いました。時として、人は、その文化的な満足(精神的満足
にのみ癒されることがあると。
フレデリックが芸術肌であることは、とてもよく分かったのですが、どうも
読み手の私の想像力が足りないからでしょうか? 残念ながら、いまいち、
フレデリックが想像を促す太陽の光とか色とか、そして詩のすばらしさが
私自身には伝わらず、共感することが出来ませんでした。
特に詩がこの話のキーになっているような気がして、何度も読んで想像力を
働かせてみたのですが、駄目でした。
なので、レオニのメッセージは捉えられた気がしますが、共感を伴えなかった
ので、この評価にしました。