「なみにきをつけて、シャーリー」 みんなの声

この絵本では見開きの左右で、登場人物が違います。
家族三人で海へ遊びに行くのですが、現実を見ている両親と空想の世界を見ている子供、そのギャップが最初から最後まで埋まらない。
読み終わって、子供にこういうことってよくあると思わない？と聞くと、素直にあるよと答えられてしまった。やっぱりね。

この絵本は、両親と子供の対比のような内容ですが、シャーリーの冒険ストーリ−だけでもとても楽しめます。月夜に、王冠をつけ忠実な犬をしたがえ凱旋するシャーリーの勇姿には、大人の私もワクワクします。うちの子供も、ヒーローものが好きでいろいろなものをふりまわして遊ぶので、シャーリーの活躍をおもしろそうに見ていました。シャーリーのページには文章がないのですが、子供は絵を見ながらお話しを作っていました。どっしりと座ってお茶を飲みながら、小言をいうママの姿は、、、私にそっくりです。子供の想像力のすばらしさを改めて感じることができました

不思議な絵本です。　左のページと右のページは、まったく違う世界なのです。
小さい子どもにはむずかしいですが、子どもたちは共感しながら読めそうです。
小さい頃、親の心配が疎ましく、心ここにあらずだったことを思い出します。
想像の世界を旅して、親の言葉をシャットアウトしていました。
わが子もそうなんだろうなあと、ふと気がつきました。
分かっていても、つい言ってしまうんですけどね。

子どもの頭の中って無限。
もちろん、大人でもそういう人はいますが。
でも大人になると、この絵本のお母さんのように、
子どもに対して小言を言うことが多くなります。
その気持ち、よ〜くわかる、わかります。
目の前にあることしか見られなくなってしまう、現実派になってしまうんですね。

そんなことは構わずに、主人公の女の子シャーリーは、
冒険物語を想像しています。
読者は、シャーリーとともに、その冒険を楽しむことができるのでしょうか。
子ども心を忘れていない人なら、楽しめるかも！？

海辺に出かけたシャーリーと両親。
両親は海辺にチェアーを出してくつろいでいますが、
シャーリーは空想の世界を楽しみます。
左では両親の現実の世界（シャーリーへの小言付き）。
右ではシャーリーがなんと海賊たちと戦っての冒険物語。
その対比が何とも絶妙です。
左の大人の光景が、何とも実感できるだけに、
シャーリーの冒険にも共感してしまいますね。
いつものように、静かな展開ですが、不思議な余韻を残す
バーニンガムさんの世界。
絵の力に感服してしまいます。

大人と子どもの感性が、こんなにも違うということを、伝えてくれます。
というか、もっと子どもの気持ちに気がついてよ、という大人へのメッセージですよね。

大人役と、シャーリー役の、二人で群読しても面白いかもしれませんね。