本当は、子供たちへの読み聞かせの材料として軽く読むつもりでした。しかし、この素敵な、私の好きなモスグリーンの背景と、奇想天外な展開に引き込まれてしまった。
長い長いお母さんの顔付近から、一気に尻尾まで吹き飛ばされてしまったこねこ。一所懸命、お母さんの顔までたどり着こうとして、たどり着かなくてしんどくなるこねこ。
挿画から、必要以上の悲壮感や嫌な空気は感じないけれど、これはふと「呼んでも呼んでも振り向いてくれない親」をシュールに表現した作品なのではと思った。
こんなに「おかあさん!」って泣いているのに、いつまでたっても遠くの方でしかお母さんの声が聞こえてこない、顔が見られないなんて、子供にとっては悪夢じゃないか。
本当にこういうラストで、良かった。