小学二年から四年向きとありますが、妻の愛を感じるお話でもありました。
冬吉が冬ごもりする熊の作ったビールを飲みに行くあたりでは、生活が充たされていても、心の中で生活以外のものにあこがれを持ってしまう人間の性を感じました。
さちが、冬吉を見つけに行く場面では、アンデルセンの「雪の女王」を彷彿とさせます。
物語の所々に安房直子自身の作品も含めてのいろいろなお話の影響が感じられますが、それでもその作品たちの片鱗があっても、それは消化吸収されて出ているので、違和感なく読めます。
大人が読んでも全く遜色がなく、大人が読むと子どもとは違った思いで、読めるお話ではないかと思います。
息子と一緒に読みましたが、最後まで展開が気になったようで、冬吉はどうなるのだろう?と最後まで目が離せない様子でした。