『HOW I LEARNED GEOGRAPHY』が原題。
『よあけ』『ゆき』の作者ユリ・シュルヴィッツの自伝的作品です。
ポーランド生まれですが、戦時下の空襲でトルキスタン(今のカザフスタン)に移住していた
4〜5歳の頃のエピソード。
貧しい異国生活の中、「ぼく」のお父さんは買い物に出かけ、
パンの代わりに大きな世界地図を買ってきたのです。
お腹をすかせた「ぼく」は父を恨みますが、
やがてその地図のおかげで世界中を想像することができ、
ひもじさも貧しさも忘れることができたのです。
不思議な地名の中には、日本のものも含まれているようで、
妙な縁を感じてしまいます。
『よあけ』『ゆき』の時に感じた、静寂の世界観が、何となく理解できたような気がしました。
戦時下にあっても、子どもらしい生き抜く力が、彼の画才の原点のような気がしました。
自身が10才、13才の時の絵が巻末にありますが、
この完成度を見るだけでも、戦時下を生き抜いた子どもの姿が伝わってきます。
また、お父さんの決断にも考えさせられるものがありました。