マレーク・ベロニカさんの作品と言えば『ラチとらいおん』が有名ですが、今6歳の長男にとっては『ブルンミとアンニパンニ』シリーズのほうがずっと身近な存在です。息子が2歳の頃、絵本ナビでこのシリーズを知り、図書館で一通り借りたものの(当時は「全ページためしよみ」がなかったので)、すっかり気に入ってしまい、結局全巻(と当時は思っていました)購入して毎日毎日朝も晩も読んでいました。
どの巻にも幼い息子がワクワクしたり共感したりするポイントがあったように思います。『ブルンミのドライブ』をまねて三輪車に物を載せたがったり、『サッカーしようよ!ブルンミ』を読んだ頃はまだサッカーのルールがわかっていませんでしたが、後に理解するにつれ、ブルンミのように得意になってみたりしていました。『ブルンミとアンニパンニ』に刺激されていちごを育てたこともありました。
何がそんなに息子を惹き付けるのかずっと不思議に思っていたのですが、繰り返し読むうちに、これらの本が読者に何かを教えたり、何らかの行動を起こすようにしむけたりせず、幼い子供が抱くワクワク感、大事な物への愛着、病気や孤独への不安感といった気持ちに素直に寄り添っているからではないかと思うに至りました。また、読者の成長の過程で、世話を焼くアンニパンニにも世話を焼かれるブルンミにも、どちらにも感情移入できるのだと思います。
思い出話が長くなってしまいましたが、そんな長男も、すっかりこのシリーズを卒業してしまっていました。シリーズの最近の2冊については出版されていたことも知りませんでした。気づけば、今や次男が2歳。早速「全ページためしよみ」をしてみました。
ブルンミはおはなしを読んでほしいのに、アンニパンニは忙しくてすぐに対応できないというとても日常的な場面設定で、小さな子供にもすぐに理解できます。他の方のレビューにもあるように、読み聞かせる立場の親としては、いつもの私だわ、と反省してしまいますが、この本からはむやみに母親を感動させようとする意図は感じられませんでした。むしろ、お手伝いをして一人前でありたい!、読んでほしい時に読んでほしい!、という子供の日頃の気持ちを率直に表してくれているので、子供は惹き付けられるのだと思います。次男は、これを読んですぐにベランダの鉢植えに水をやりに行き、その足で水槽の魚に餌をやりました。それを見て、次男もあの頃の長男と同じくらいに成長したのだなと嬉しくなりました。今度はうちの本棚にあるシリーズ本を読み漁るでしょう。
訳者が変わったようですが、今までの翻訳の雰囲気を大きく変えずに訳されていると思います。今後また続きが出るそうで、楽しみです。