夏休みもそろそろ終わり。
子どもたちは宿題で大忙し。「ねえねえ、お母さん、この夏何をしたっけ、ぼく」なんて聞いている子どもはいないでしょうね。
誰も教えてくれないよ。
それでも、思い出せない時は、長谷川義史さんのこの絵本を読んでごらん。何かのヒントになると思うよ。
「かおがパンパン パンやのろくちゃん」が主人公のこのシリーズは、パン屋の子どもろくちゃんと商店街のお店の人たちの交流を描いて人気ですが、今回の絵本には夏のお話が四つも収められています。
「なつまつりのきんぎょすくい」「ゆきちゃんさそってプールにいって」「きもだめしでがんばって」「はなびたいかいにでかけたよ」。
どれも夏の行事を舞台にろくちゃんの変な活躍が楽しめます。
金魚すくいは、たくさんの子どもたちがしたのではないかな。逃げる金魚を追いかけても、すぐに破けてしまった経験はきっと誰にもある。ろくちゃんの場合は、お母さんに一回しかしてはいけないという約束をお父さんと破ってしまうのだけど、金魚すくいって子どもだけでなく、大人も夢中になるよね。
そんな光景、見なかった?
そういうのが、面白い絵日記になったりするのじゃないかな。
花火のお話は切実。だってろくちゃんがおしっこしたくなって、トイレに行くのですが、長い順番待ちの列が出来ていて、とうとうおもらししちゃう話。まさか、そんな子どもはいないでしょうが、いたとしてもそれは絵日記には書けないよね。
やっぱり書くとしたら、きれいな花火を見ましたぐらい。でも、長谷川さんの絵本にあるように、花火の音ってとても大事ですよね。 「ドドドドドドドド ドドドドドドドドン ドーン!」
きっと耳にした時は、もっとたくさんの音が聞こえたはずだよ。そんなところに工夫をしたら、先生にほめられるんじゃないかな。
この絵本はそんなふうに子どもたちの夏そのもの。大人の読者には懐かしい夏かもしれません。
でも、これはあくまでもパンやのろくちゃんの夏のお話。
そっくりマネするのは、よくないからね。