フランスの製本職人と、アカシアの木が大好きな女の子のお話。
ぼろぼろになるまで読み込んだ、お気に入りの植物図鑑。
「書店には新しい植物図鑑がたくさんあるけれど、私はこのお気に入りの本を直したい」といういう女の子の想いと、
「後世に名は残さなくていい。商業的な本は販売しない。手に取った人に喜ばれる、世界にただひとつだけの、丁寧に製本された本を造りたい」というルリユール(製本職人)の想いが交わり、ぼろぼろの本から、美しい図鑑が生まれる。
幼いとき、父の手仕事を魔法のように感じていた少年がその技を引き継ぎ、老いてなお、誇りを持って仕事をしている。
「わたしも、魔法の手をもてただろうか」
絵本だけれど、小さな子供より大人向けの印象。
静かな感動が胸にじんわりひろがった。