「にんげん、やさしささえあれば、やらなきゃならねえことは、きっとやるもんだ…」最後のページで 祖父ががんばった孫にきかせるセリフは作者から読み手への究極のメッセージだろう。
峠の猟師小屋で じさまと暮らしている5歳の豆太は夜には一人で便所に行けない臆病者。ある晩腹痛に苦しむじさまを助けるため医者を呼びに必死で夜道を駆け下りた…そしてその帰り道に言い伝えのある貴重なの景色に出会うのだった。骨太な文章にくっきりと遠目のきく切り絵がぴったり合っている。
深い青をバックに漆黒の擬人化した枝が恐ろしげに迫る場面を特に印象的に見せてあげたい。
ところで…絵本が発行された1971年当時、切り絵作家滝平二郎は朝日新聞日曜版の連載で大ブレイクしていたのだが、それはまた別な話…