働き者のトーリン。
トーリンの流した汗にユリの花が咲き、そして歌いました。
トーリンが持ち帰ったユリの花から美しい娘(名前は?)が現れます。
読んでいくと、娘はトーリンの汗の結晶だったと気がつきました。
だけど、トーリンは娘と暮らすうち、裕福になり働くことを厭うようになります。
娘はトーリンの働く姿が好きだったのです。
娘は怠け者になったトーリンに働くよう哀願しますが、それも叶わず一人黙々と働いていると金鶏鳥に月の世界に連れ去られてしまいます。
だいたいの物語はここで終わるのです。
そして、だから怠けてはいけないんだと戒めに使われます。
この物語には救いがありました。
怠け者になったトーリンが、次々に物を売って糧を得ているうちに娘の残した刺繍を見つけます。
その刺繍には、二人で働いた思い出が描かれている。
トーリンは再び働き始めました。
そして、また娘と再会しました。
今度はトーリンの流した涙が娘を呼び戻したのです。
二人は幸せに暮らしたというハッピーエンド。
過ちや道を外すことはあるけれど、もう一度やり直そう。
これはなにかかにかと、成長過程で悩める子どもたちにお薦めの展開。
十五夜がキーワードになった物語。
かぐや姫とは関係はなさそうですが、ぬくもりのある物語でした。