表紙絵のオーバーの赤い色に惹かれました。
戦後の物資不足の中、母が手元に残しておいた家財を、娘アンナのオーバーにかえていくお話。
羊毛から糸紡ぎ、織布、仕立てと時間をかけ、ゆっくりとアンナと共に仕上がりまでを楽しみました。
『ペレのあたらしいふく』を想起しましたが、ペレは自らの労働を代償に一着を手に入れました。
アンナは、母の大切にしていたもので、一着を作ってもらいます。
アンナがオーバーの完成まで、常に母とその様子を見ているところが、その待ち遠しさを伝えてくれます。
なんといっても、“赤”が本当に素敵です。
糸の染色のため、親子でコケモモ摘みをしているページが好きです。
アンナの手も経てできあがった素晴らしいオーバーに、こちらも「よかった。」と声が出ます。
最後のクリスマスパーティーが、またこのお話を温かいものにしています。
実話ということで、母の知恵と工夫、そして子をおもう深い愛情に感動です。
見返し(前も後ろ)も可愛らしいんです。