「泣く子も笑う絵本」として人気の高いかがくいひろしさんの「だるまさんが」シリーズで、2008年の発売からわずか6年で100万部を突破したといいます、
一体この絵本にどんな魅力があるのでしょうか。
そこで、60歳近い私がその解明に乗り出したのです。
二ページで開きで、ゆらりゆらり揺れるだるまさんが描かれています。
「だ・る・ま・さ・ん・が」、ひらがなで6文字。
右に左に揺れるだるまさんが6体。
次のページを開くと。・・・!
その次のページも、ひらがな6文字と揺れるだるまさん6体。
次のページを開くと。・・・!!
この「・・・!」を書きたいところなのですが、書くとつまらなくなるので書きません。
では、この「・・・!」がこの絵本の魅力なのかというと、それもありますが、それだけではないと思います。
それは揺れる6体のだるまさんと次のページの「・・・!」の間に潜んでいるのだと睨みました。
ページをひっくりかえしても何も出てきません。
ページをめくるその行為そのものが、面白い空間であり、時間なのではないでしょうか。
思いがけないものに出会った時の面白さ。
それを楽しめるのは子どもだけの特権かもしれません。
おとなは先に何が起こるか、経験で知っています。
だから、揺れる6体のだるまさんに何が起こるのか、だいたいは想像がつく。
経験は知恵でしょうが、面白さを半減しているともいえます。
赤ちゃんと遊んでいると面白いのは、彼らが何をするかわからないからです。
突然泣き出したり、かと思えば笑い出す。
あっちに行ったり、こっちにハイハイしたり。
かがくいひろしさんの「だるまさんが」の魅力は、予測できない(ここでは赤ちゃんにとってですが)面白さといっていいでしょう。
子どもが素晴らしいのは、予測できないものをもっているからです。
この絵本そのものがかわいい赤ちゃんなのです。