クジラについて知っていることといえば、地球上で最大の生物であり、海にいながら哺乳類であること、あとはせいぜいハクジラとヒゲクジラの2種類がいることくらいでした。
この絵本を読むと、クジラの進化から生態にいたるまで、実に様々なことが分かり、もはや絵本の域を超えていると感じました。
1億年前の恐竜時代からどうやってクジラの祖先が生まれたのか、どういう進化を遂げて形を変えていったのか、本当に興味深い話ばかりでした。
中でも、魚類の尾びれとクジラ類の尾びれでは付き方や動かし方が違うということ。イルカの胸ビレの中には前足の名残として5本の指の骨があること。鼻の位置も時代と共に移動していったこと。ページをめくるたびに「ほぉ〜!」と感動するやら驚くやら、新しい発見ばかりでした。
地球上で命が死に絶え、また1から生命が芽生えたとしても、二度と同じ道筋で進化が繰り返されることはない。
あとがきを読んで、今この地球上で生きていることの奇跡、すべての命が愛おしく、この奇跡を決して失ってはいけないと感じました。
美しくリアル感のある圧倒的大迫力の挿絵も素晴らしく、子どもだけでなく大人にもオススメの1冊です。