夕方の空って、とても不思議な力を持っているように思います。
ふと見上げた夕空に、「今」ではない、いつか遠い日に見た夕空を
心の中で重ねていることってありませんか?
重ねた夕空が、いつ見たものなのかは思い出せないことが殆どなのですが、
「今の空」に「いつかの空」を重ねる時、
一緒に色んな気持ちがじんわりと滲み出てきます。それはきっと
「いつかの空」を見た時に感じた気持ちの欠片たちなのでしょう。
妙にせつない気持ち・・・だったり、
何ともいえない満足感・・・だったり、
ホッとした気持ち・・・だったり、
不安げな気持ち・・・だったり、
その時によって様々なのですが
ふと見上げた夕空に、私は心のどこかの引き出しを
スーッと開けらることがあるのです。
この写真絵本を左側から開いて
様々な美しい夕空を追っていると
それと同じことが起りました。
美しい夕空の写真に、
私は無意識に「いつか見た夕空」を重ねていました。
同時に、色んな気持ちの欠片がじんわりと滲み出てきました。
左側から開くと写真絵本になっています。
添えられた文がまた、とても魅力的です。
滲み出た気持ちの欠片に、そっと寄り添ってくれるように感じます。
右側から開くと写真詩集になっています。
写真絵本側は、読んであげるのなら低学年の子どもからでも
十分味わうことができると思います。
写真詩集側は、中高生くらいから大人だと
より深く味わうことが出来るのではないでしょうか。
谷川俊太郎さんの紡ぐ言葉は、やはり素晴らしいですね。
吉村和敏さんの写真も本当に素敵です。