賢治絵本のフェアで扱われていた中で、知らない作品だったので読んでみました。
賢治といえば独特の文体が印象深いのですが、この絵本は石井さんの味わい深い絵に釘付けになってしまいました。
「まどうて」という耳慣れない言葉が、このネズミの表情と切っても切り離せず、忘れられそうもありません。
いたちをはじめ、道具たちの表情も豊かで、うまく描かれた昔話の世界にどっぷりでした。
こんな、ありえない人、いる?と思うほど、事実は小説より奇なりで、我慢ならない人はいるものでしょう。
そんな人は、最後はこういう目に合うと思うと、少なからず救われます。
賢治にこんなイソップのような昔話の王道をいくような作品があったとは知りませんでした。
多彩な賢治ワールドの作品群に触れさせてもらい、フェアに感謝しています。