この本、阿川佐和子さんのお父様、阿川弘之さんの作品なんですよね。
厳しくて怖い感じの阿川父からこんな作品が出来るとは、ちょっと意外でしたが、阿川父は大の電車好きなんだそうです。
なるほど、紙面から「機関車大好き! 電車大好き!」というオーラが出ています。
ずーっと頑張って働いてきたやえもんにとって、若い者(電車)にとやかく言われるのは、とても心外なこと。
やえもんのむっとした顔の下に屈折した心境が垣間見えて、読者もちょっと苦味を感じます。
この苦味が、この本を、電車がいろいろ出てくる楽しい本というのに留まらせず、広い年齢層に訴えかける名作にさせたといっても過言ではありません。
子ども時代に読み、親になって読み、定年になって読んでも、いつでも楽しめる作品だと思います。