あなたも見たことがありませんか。古びたビルのコンクリートの隙間から生えている草や、アスファルトで舗装された道路に少しだけ残った土の部分に咲いているたんぽぽ、ブロック塀を突き破って伸びている木を。
このお話は、リーアムという男の子が、もう列車が走らなくなった高架線の上で、枯れそうな草木を見つけるところから始まります。
リーアムが草木の世話をすることで、高架線路の上に草木が広がっていきます。そして次第に、その草木は町全体を変えてしまいます。空の色さえも変えてしまったような気がします。
この絵本に描かれている、次第に町が草木でおおわれていく様子は、見ているだけで楽しいものです。
特に、町を俯瞰した最後の2ページからは「希望」が伝わってきます。
このお話が本当にあったことならば、あきらめなさえしければ、「一本の木も、小さな草むら」さえない町でも、私たちは緑でいっぱいにすることができるのです。