夏休み、ジャネッタは汽車に乗って母さんと旅に出る。
向かう先は初めて訪れる母さんの実家―おじいちゃんの家。
おじいちゃんの家の何もかもが気に入らないジャネッタだが…。
おじいちゃんと孫とが自然と心を通わせあう様子が描かれていく。
おじいちゃんが語る「星が落ちてきた話」がいい味を出している。
星を空まで送って帰ってきたロバについて、おじいちゃんは
「(ロバは)しばらく考え深げにしておったよ」と言う。
こんなフレーズを口にするおじいちゃんが小粋でかっこいい。
お互いにとって、相手は自分を受け入れ、違う価値観を示してくれる良い相棒。
年の離れた2人の間に流れる「共犯」のような感覚がとても素敵である。
この2人を描いている姉妹作『おじいさんのハーモニカ』もある。
この本を出版した佑学社は倒産してしまい、現在絶版となっている。
改題・改訳をした『おじいちゃんのところ』が童話館から出版されたが、こちらの佑学社版の方が訳がウィットに富んでいて、おじいちゃんの魅力が存分に発揮されている。
再販を期待したい。