副題に「きつねがひろったグリム童話」とあります。
つまり、コン君というキツネの子が、森のはずれで本を拾ってきて、とうさんに読んでもらうんです。でも、とうさんキツネは、人間の字が読めないので、一度だけという約束で、自分の作ったでたらめのお話を読んでやります。
というわけで、上に本来のグリム童話が書かれ、下にとうさんキツネの作ったお話が書かれ、一つの絵本で二つのお話が楽しめるというしくみになっています。
上のグリム童話は、欲張りなおかみさんのお話。下のとうさんキツネの作ったのは、竜宮城のおとひめ様を人間界に招待しようというお話で、どちらも人間のエゴが書かれてて、決して感動するとか、ほのぼのするとかそういう話ではありませんが・・・。
発想のおもしろさと、「旅の絵本」で有名な安野光雅さんの絵を楽しめる点、最後の「コン君は、お話なんかどうでもよかったんです。とうさんにだかれて、耳もとでとうさんの声がしていれば、それだけで、よかったんです。」という文章が気に入りました。