この一文を読みあげる度に、胸にふわっと温かいものがわいてきて、誇らしくも、ちょっぴり気恥ずかしさも感じてしまう。ああ、作者がこの物語を書いたのは、これを伝えるためだったのだと。
石に情熱を注いだ作者の父は「ポケットの中も、あたまの中も石っころでいっぱい」。学校に行って研究する余裕がなくても、独学で学び、収集や分析を続けて行きます。大恐慌で職を失っても、じっくり収集できることを感謝し、日雇いの仕事も無いときは、博物館の石を見に通います。やがて館長さんに会い、夜の博物館掃除の仕事に就き、やがて、その情熱と正確な知識を認められて、長い年月の後、博物館長になるお話です。
本屋で偶然手に取ったのは、当時、石に夢中なうちの子と同じだ(購入した石が主ですが、自分で作った棚に絵の具を塗って、ラベルをつけて飾り棚に設えてあった)と思ったからです。大好きな事を、とことんやるっていうのは、素敵だなと気付いて欲しかったから、すぐ買いました。
私は読み聞かせでよく使います。親や自分の将来の仕事について漠然と考え始める小学5年生くらいがよいかと思います。