今にもくずれそうな橋の上に取り残されたきつねとうさぎ。
何事もなければきつねはうさぎを食べてしまったに違いない。
シーソーのようになった橋の上で、きつねもうさぎも動くことが出来ません。
きつねが近づけばうさぎの側が下がって。うさぎは落ちてしまう。うさぎが落ちてしまえば自分も死んでしまう。きつねが下がれば、自分が先に落ちてしまう。緊張のあるバランス。
うさぎが眠ってしまった時、きつねは「命をたいせつにしろ」とうさぎを起こします。うさぎは感謝しますが、この時きつねはまだ自分の安全の事を考えていました。
でも、このシーソーの上で、きつねとうさぎは友情を深めていくのです。お互いのことを知るために必要な架け橋でした。
やっとの事で助け合って地面に降り立ったきつねとうさぎ。
きつねは思い出したようにうさぎを追いかけますが、うさぎを思いやる気持ちも忘れていませんでした。
大人が読むと理屈っぽくなりますが、この絵本、人間関係のシーソーを表していると思います。仲良くやれる距離とバランス。
そして、自分の事を大事にすることの延長線上に人への思いやりがある。
また、相手を憎む気持ちと相手を思いやる心が同居しているのが、人間なんだと。
でも、絵本を読むときに理屈を押しつけてはいけませんよね。
息子は、「この絵本、絵がきれいだねと」受け止めてくれました。