この本は私が気に入って娘の1歳の誕生日にプレゼントしたものでした。私が絵本を読んでいるのをいつも聴いていた娘でしたが、そのときは何の反応もとりたててありませんでした。小学校の頃、時々一人で眺めいっていました。高校生のとき私に「今でもお家が真ん中にあって、周りに花や木があって鳥が飛んでいて、犬がいて、ねこがいて、人間がどこにどのように描かれているかちゃんと覚えているよ。何回みても季節が巡る場面はあきない場面だった。でも、一人で本を見るとき、ちいさいおうちがスモックや開発で汚れて忘れられていく背景が黒くなる場面は怖くて飛ばしていたわ。でも最後にまた家族が面倒を見てもとの花咲く丘にお家が行くことになりほっとしたなあ」と思い出を語ってくれました。この本は色と形で文字が読めなくとも小さいお家の壮大なドラマを語っています。娘がこの本の最後のページに当時覚えたばかりの拙い字で「そしてしあわせにくらしました。おしまい。」と落書きをしているのを見ると、子供にとってお話の終りはいつも幸せになることの大切さをあらためて思います。また幸せはどういうことかを子供なりに始めてこの絵本で感じ取ったのだと思います。抽象的な幸せという言葉を物語と構図をマッチさせ、工夫したこの絵本は主人公の「ちいさいおうち」と同様に何代も何代も人々から大切に愛され続ける本であろうと思います。古典中の古典です。