2歳8ヶ月の息子に読んでやりました。
息子は同じ作者の『それゆけフェルディナント号』がとても気に入って、図書館から借りていたわずか2週間の間に100回以上読んだほどでした。それで、同じ作者で、息子の大好きな車も登場するこの絵本も見つけて借りてきました。
ところが、理由は分かりませんが、ほとんどこちらの絵本には興味を示しませんでした。そういえば、ヨーロッパの絵本にはサーカスを題材にしたものが多くありますが、きっと身近なのでしょうね。息子は一度も見たことがないので(私も一度しか見たことがありませんが)、イメージしにくいのかもしれません。
話の内容は、あるサーカス団にまつわる事件の顛末です。村にザンパーノおじさん率いるサーカスが赤いトラックでやってきて、ショーを始めます。おじさんは大きな熊をあやつり、観衆は、おじさんのすごさに感心します。ところが、途中で一匹のハエが熊にたかり、熊はそれを振り払おうとして、おじさんとの間で綱で結ばれた手を振り回します。すると、おじさんは空へ飛ばされてしまい、熊はハエを払い続けて森の中に消えていきました。今でもおじさんは空を飛び続け、熊は森で暮らしているらしい、と終わります。
おじさんは熊をも操れる強いすごい人でしたが、一匹のハエですべては一変。なんとも言えない虚しさが漂います。それでいて、それを悲しいことのようにではなく、あっけらかんと描くところがまた独特の民族性のようなものを感じさせてくれます。
作者はポーランド生まれでドイツで生活しているようですが、正教徒なのでしょうか。絵の中の村の教会に正教会の十字架がかかっています。女性たちも東欧の女性がよくやるようにスカーフを頭にまいています。そんなこんなで私はドイツのではなく、ポーランドの村を想像しながら読みました。