2003年刊行。幼い弟と姉が、公園に忘れ物を取りに行った時、不思議な小径からきつねのいる世界に迷い込む話。
日常生活から、地続きで異界に迷い込むところが素敵だ。いつもは見かけない小径から聞こえる子ども達が遊ぶ声。たどっていくときつねの世界に入り込む。不思議な世界と現実の境目があいまい。しっかりと形がとれている絵なのに、幻想的な雰囲気が漂う画面も面白い。
人間の世界の住人と、きつねの世界の住人が、それぞれを尊重しあって、和やかに交流する様子がほほえましい。正体がばれたら追い出されるとか、攻撃されるということもなく、お互いに素性のわからない存在が、突然現れたことに驚きつつも、一緒に遊んで仲良くなってしまう。子どもの世界では、一緒に遊んだらもう友達・仲間となる。
こんな風にして、世界が平和になればいいと思った。