このストーリーが実話と知り,衝撃を受けました。大瀬先生のことは初めて知りました。いもとようこさんの温かい絵にこんな深いお話が隠されているとは・・・。
読んでいる私自身も,実話と知って涙が浮かんできましたが,聞いている長男も,やせて小さくなってしまった校長先生を元気だったころの頁と見比べてうるうるしていました。病気をすること,心や体の変化,というものを理解できているんだなと,そんな長男の様子を見て私は嬉しくも感じました。昨年,大好きだった祖父を癌で亡くすという体験もしているので,リアルに読み込めたのだと思います。親子共々,いろいろな思いがよぎって切なくなりました。
そして,もうひとつ。ひつじくんが大きな声を出せない理由というのも大人として切なかったです。私は「こどもが安心して眠ることができる」ということに大きな価値を見出しているので,そうではないひつじくんを思うと泣けてきます。
この本はむしろ大人のために描かれているような気がします。こどもに関わる大人が,『命』や『こどもの気持ち』などについて深く考えるきっかけになるといいな,と一読者として願います。