今までずっと傍にいて、ぎゅっと寄り添って生きてきたおかあさんと子どものシカ。
前半の愛情が溢れているような、いつも寄り添う姿は、後半のひとり立ちへの布石でしょうか。
あれだけ愛情のストック(身も蓋もない表現ですみません)があれば、それを支えに一人でも強く生きていくことができると言っているかのようです。
「子別れの儀式」というのは、一見残酷に見えますが、子どもがこれから生きていくためには必要なこと。
この本は、それをストレートに描いています。
ただ、おかあさんが子どもを突き放すシーンは、唐突すぎる印象を受けました。
いもとようこさんの絵が、前半は美しいのですが、そのシーンだけしっくりこないような気がします。
例えばかわいいアニメのキャラクターが、唐突に意地悪してしまうような違和感がありました。
もう少し大人びた絵の方が、厳しさがあって良かったかもしれません。
子どもに読み聞かせる時は、小学生くらいからなら、十分に対応できると思います。