上手いな〜!
表紙絵のトリミングされた庭木郡とタイトルの“魔術師”&“庭園”。
ただ者の庭じゃない雰囲気が漂っています。
絵はお馴染みのモノクロ。
えもいわれぬ世界の入り口を感じさせてくれます。
この作品は、絵のみならずお話の構成が良い。
イライラさせられる躾のなっていないブルテリア犬フリッツ。
読んでいて、この犬のお守りに最初から手こずらされそうな主人公アラン・ミッツ少年が心配でした。
これが伏線となって、いよいよ昼寝後の散歩でアランが目にする“引退した魔術師アブドゥル・ガサツィ”の敷地入り口の立て札。
ここから、どれだけ広い敷地に住んでいるのだろうと呆れます。
と同時に、これだけの敷地の住人であると言うことは、相当の名だたる魔術師であったと、憶測を深めさせられます。
見事にオールズバーグさんの術中にはまっていたのです。
アランの制止を聞かずガサツィ氏の敷地に、入り込んでしまう分別の無いフリッツと責任感から焦るアランの対照的な様子。
そして、ガサツィ邸正面の描かれたページの威圧感。
迎い入れるガサツィ氏の存在感。
子どものアランにおもねることもない計り知れぬ不気味さ。
ひたひたと恐怖感が忍び寄ってきます。
後半のアランの心情を思うと気の毒でなりません。
そして、ラストでまたやられました。
私は、魔術師の力を信じます。
皆さんは如何でしょうか?
このオールズバーグさんの作品も虚を衝かれるエンディングに、最終ページをなかなか閉じられませんでした。