元々は、絶版になった岩波版の『ちびくろさんぼ』に収録されていたお話です。
どうして2冊に分れてしまったのか、書店で聞いてみましたら、挿絵を描いている人が違うので、というような説明でした。
ずっと、『ちびくろさんぼ』と同じかと思っていたので、改めて見てみると、『きかんしゃやえもん』の岡部冬彦さんなのですね。
日本的な絵を描く方だと思っていたので、ちょっと意外でした。
さて、このお話には、さんぼの弟が登場します。
我が家は3人きょうだいなので(私自身も、子ども達も)、さんぼが3人きょうだいというのは、親しみが湧いて嬉しいですね。
私自身は、このお話も『ちびくろさんぼ』に負けず劣らず大好きでした。
3人きょうだいであること、最後にワシが子どもに食べさせている肉片がなんともおいしそうだったことが、その大きな魅力でした。
さんぼのお話って、本当になんでもないシンプルな絵なのに、これ、おいしそう!と思わせるのが上手です。
また、弟たちが連れて行かれた木の上の、葉っぱがちくちくしてとても痛そうなのとか、弟たちのリボンがとても鮮やかなのとか、視覚的に訴える箇所がとても多いような気がします。
さんぼのお話については、いまだにいろいろ物議を醸し出すことも多いと思いますが、そういうことを頭の片隅にしっかりと置きながら、物語の面白さを楽しんでいけたらいいなと思います。