グリムの昔話には、本来の姿から醜い姿に変えられた主人公の話が多くあります。
本来の姿に戻るきっかけはさまざまです。
このお話は、親の悪行のためにロバの姿で生まれてきて、だれからも愛されず孤独な王子が、精一杯の努力をして両親の愛情を得ようとします。
しかし両親は現実から逃避して、王子を見ようともしません。
王子はそんな両親を自分から見切ります。
自分が努力しても変えられないなら、新しい居場所を探しに行く。
そんな逞しい王子を応援したくなります。
クーニーの絵はやわらかく、あたたかく、ロマンチックですてきです。
残酷なおはなしを和らげてくれます。
一つ残念なのは、一番悪い王子の両親がどうなったのか触れてもらいたかったです。