アンネの日記に書かれている友だちのハンナから見た事実は、あまりに強烈で悲しいものでした。
アンネが隠れ家で閉ざされた世界でじっとしている間に、ハンナの身辺では、囚われるもの残るものの生き残りの運命のふるい分けが進んでいきます。
子どもの出産で命を落とした母親を語るところから、生と死が淡々と続くところは、あまりにも人生を振り回された虚無感からでしょうか。
生き残りのカードを引きつづけたハンナと、アンネの再会、終戦を直前にして祖母、父親が死んでいくところは、息を呑み、涙が溢れました。
列車で搬送される中途で知った終戦は、多くのものを失った虚脱感を伴ってしてか理解できなかったことは想像に難くないし、アンネの死を知った時の虚脱感は、自分が生きていることに対する罪悪感だったかもしれません。
とまれ、このような記録が残されていることを、今日まで知らなかったことを反省し、子どもたちに伝えたい本として大切にしたいと思います。