唐の詩人柳宋元の詩「漁翁」をモチーフにした作品。
漁師のじいさんは、夜は西の岩陰ですごし、
夜明け方には清らかな湘水を汲んで竹を燃やす。
もやが消えて日が出たと見る間に山と水の緑が現れた。
もはや人かげは見えず、漁師のうたう船歌が聞こえるだけ。
はるかに天のはてをかえり見つつ流れを下れば、
岩の上から雲が無心に迫ってくる。 (松枝茂夫「中国名詩選」)
夜明け前の静寂な湖の辺の風景が秀逸です。
その画の色合いが心に染み込みます。
それに、瀬田 貞二さんの訳が、一層その雰囲気を引き立てています。
絶妙としか言いようがありません。
これはもう大人の絵本と言って良い作品だと思います。