![みどころ](/images/shoukai_midokoro.gif)
舞台は古代ローマ。家ねことして幸せに暮らすミランダは、金色の大猫。 飼い主の女の子クラウディアとその一家に愛され、周囲からも一目置かれて優雅に暮らしていました。 いままでに何度か子猫を生みましたが、一緒にいるのはいまはプンカだけ。 プンカはまだ1歳ですがすでにりっぱな銀色の大猫です。
ある日ローマに蛮族が押し寄せてきて、火事とがれきの町にミランダとプンカは取り残されることになります。 炎の中を逃げながら、33匹もあかんぼう同然の子猫を助け、連れて歩くことになり……。 しかもこのときミランダのお腹の中には、今日生まれるか明日生まれるかというあかちゃんがいたというのに! まったく、このミランダという猫にはびっくりさせられどおしです。 ストーリーはクラウディア一家と生き別れたミランダ、プンカが、最大の危機を見事にやりすごしたのち一家と再会するまでの冒険譚です。
古代ローマという一風変わった舞台設定に、不思議な引力を感じつつ、猫たちの世界にみるみるひきこまれていきます。 作者エレナー・エスティスは『百まいのドレス』や「モファットきょうだい物語」シリーズ(共に、岩波書店)など読み応えのあるおもしろい作品を生むストーリーテリングの名手。 そして古代ローマで自立して生きる猫たちを挿絵で描いたのはエドワード・アーディゾーニ。 『チムとゆうかんなせんちょうさん』などの絵本がありますが、ファージョン作品集『ムギと王さま』『年とったばあやのお話かご』などでは、陰影のある線描の挿絵で、時を超えて私たちを魅了してくれます。
母猫ミランダが、まだ甘えたいお姉さん猫プンカを「イオ!」と褒めたり「ウォウオ」となだめたりしながら、自らの片腕として育てていく一面も楽しめます。 この作品が書かれた当時1967年頃にはまだローマのコロッセオには野良猫がたくさん住み着いていたそう。(いまは他の場所へ移されボランティアによって世話をされているそうです。) 2千年以上前にこんな物語があったのかもしれないと思うとわくわくしませんか? ミランダが崩れたコロッセオで、柵の中の雌ライオンと取引する場面は、まさに最高のハイライト! 小学校3・4年以上におすすめの読み物本ですが、大人も十分楽しめる一冊です。 ゆうかんな猫ミランダの野性と誇り高さに拍手したくなります!
(大和田佳世 絵本ナビライター)
![出版社からの紹介](/images/shoukai_shuppansha.gif)
ときは古代ローマ時代。主役は黄金色の美しいめす猫ミランダです。人間の家族にかわいがられながら優雅に暮らすミランダは、じつは親分肌のお母さん猫でした。
ある日、ローマの街に蛮族が攻め入り、人びとはみんな逃げてしまいます。街にはたくさんの赤ちゃん猫が置き去りに。ミランダはそんな猫たちの面倒をまとめてみます。子猫をひきつれ、すみかにしたのは、なんとローマの円形闘技場! とらわれの身のめすライオンと交渉してお乳をもらったり、ごちそうを手に入れたりと、ミランダは勇気と知恵をふりしぼり、猫たちを救います。 お話は『百まいのドレス』で知られるエレナー・エスティス。猫好きならではの観察眼で、ミランダたちの冒険を猫への愛情たっぷりに語ります。お話を彩るのは、エドワード・アーディゾーニのいきいきとした線画。スペシャルな組み合わせでお送りします。
![ベストレビュー](/images/shoukai_bestreview.gif)
蛮族に襲われて難を逃れる猫ミランダと娘プンカ。
逃げる最中にも子猫を助けるという勇敢さ。
それだけでなく果敢にもライオンとも交渉するという度胸と機転には目を見張るものがあります。
物語の猫史上最強とも思える頭の良さと勇気、また弱気を助けるという優しさはどれをとっても天下一品です。
アーディゾーニの挿絵というところから興味を持った本ですが、アーディゾーニの挿絵も絶品です。
中学年以上の子どもさんに手に取ってもらいたい本です。 (はなびやさん 50代・ママ 男の子16歳)
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