国民的ベストセラー、42年ぶり、待望の続編! 国内で800万部、全世界で2500万部を突破した『窓ぎわのトットちゃん』。 世界中で愛されている、あのトットちゃんが帰ってくる! 泣いたり、笑ったり……トットの青春記。
【本書の内容】 ・東京大空襲の数日後、青森を目指して、ひとり夜行列車に乗ったトットを待ち受けていた試練とは? ・「おめえのジンジョッコ、描いてみろ」。疎開先の学校で、みんなとなかよくなりたいトットが、考えついた方法とは? ・「咲くはわが身のつとめなり」の言葉を胸に、トットが通った女学校や音楽学校の思い出は、映画、オペラ、ラーメン、それから? ・「そのままでいいんです」。NHKの専属女優になりたての、トットが救われた一言とは? ・アルバムからお借りした写真や、いわさきちひろさんの絵もたっぷり。
【黒柳徹子さんからのメッセージ】 私は、どう考えても『窓ぎわのトットちゃん』よりおもしろいことは書けない、と思っていました。私の人生でトモエ学園時代ほど、毎日が楽しいことはなかったから。だけど、私のようなものの「それから」を知りたいと思ってくださる方が多いのなら、書いてみようかなと、だんだん思うようになったのです。よし!と思うまで、なんと42年もかかってしまったけど、書きはじめると、笑っちゃうこと、泣いちゃうこと、それから戦争のことも次々に思い出されて……。
昭和の結婚式のスピーチでよく使われていた「3つの坂」。
「長い結婚生活には3つの坂があります。「上り坂」「下り坂」そして「まさか」。
思いもしないことがことがあっても、夫婦で協力し合っていって下さい」というもの。
どうも、出版業界にも「3つの坂」があるようです。
黒柳徹子さんの大ベストセラーから42年。
「まさか」、あの『窓ぎわのトットちゃん』に続篇が作られるとは。
もしかしたら、出版不況で「下り坂」の業界も、これで「上り坂」になるかもしれません。
『窓ぎわのトットちゃん』(以下、正篇と書きます)が刊行されたのは1981年。
色んな版のものが出て、国内だけでシリーズ累計800万部を超え、
さらには世界各国で翻訳されています。
正篇の表紙の挿画はいわさきちひろさんの絵。(装幀は和田誠さん)。
今回の『続 窓ぎわのトットちゃん』もいわさきさんの絵が使われています。
でも、和田誠さんは亡くなっているので、名久井直子さんが装幀しています。
正篇のおしまいの場面を思い出してみましょう。
トットちゃん(もちろん、黒柳徹子さんのこと)に
「きみは、本当は、いい子なんだよ」と教えてくれた小林宗作先生のいる
トモエ学園が空襲で焼けてしまいます。
その頃、トットちゃんは満員の疎開列車で東北で向かっていました。
続篇は、その疎開列車の中のトットちゃんのおかしいけれどかわいい姿も
ちゃんと書かれています。
戦争が終わって、トットちゃんがどんな大人になりたかったかも綴られています。
またNHKに入局してからの失敗話も(これらはすでに有名なエピソードです)
たくさん書かれています。
でも、黒柳徹子さんがこの続篇で本当に書きたかったことは、
自身が体験した戦争のことを書き残しておきたかったとあります。
戦時中に出征兵士を見送った場面があります。
その挿話の最後に黒柳さんはこう書きます。
「どんな理由があっても、戦いにいく人たちを「バンザーイ!」なんて言って
見送るべきではなかった。」
世界には戦争が途切れることはない。
だからこそ、42年ぶりに書かれた『続 窓ぎわのトットちゃん』は意味深いのです。 (夏の雨さん 60代・パパ )
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