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へび年なのでへびの絵本を
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投稿日:2025/01/06 |
今年(2025年)は巳年。
つまりは、ヘビ年。
そんな年のはじめにぴったりの絵本を紹介しましょう。
『へびのニョロリンさん』。
文を書いたのは富安陽子さん、絵は長谷川義史さん。
へびといっても、ここに出てくるニョロリンさんは大蛇。
首をもたげると人間の背丈ほどもありますから、随分大きい。
でも、怖がることはありません。
このニョロリンさんはとてもおとなしい。
人は、ちがった、へびは見かけで判断してはいけません。
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くわいはおいしいよ
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投稿日:2024/12/29 |
子供の頃、おせちのくわいが苦手だった。
芽がでるというのでおせちには欠かせないものだが、食べきれない。
だから、芽が出ないままおとなになったのかもしれないが、いつの頃からおいしく感じるようになった。
つまりは、くわいは大人の味なのだろう。
おせちにはどこか懐かしい思い出がある。
12月28日の朝日新聞「天声人語」で
「文と絵が内田有美さんの『おせち』という絵本が今、人気だそうだ」と紹介されたのが、
この絵本。
筆者が書いていたように「写真のような精密な絵にやさしい説明がつく」。
「黒豆、だて巻き、田作り。一品ずつ由来が浮かぶのは私が昭和の人間だからかも」と書いていたが、
それはおせちゆえの、あるいはお正月ゆえのことかもしれない。
ちなみに、この絵本でくわいにはこんな説明がつきます。
「たけのこ くわい/めがでてのびる/めのものたくさんいただいて/すくすくそだって/おおきくなあれ」
とにかくこの絵本の魅力はなんといっても、その絵。
写真ではないかと見間違いそうになる。だから、料理がとにかくおいしそうなのだ。
天声人語では「平成育ちの親と令和の子が一緒に学べるのも、人気の理由か」とあったが、
そこに昭和の祖父母がおせちにまつわる思い出話なんかをするのもいい。
お正月にはこの絵本を開きながら、
お重をのぞきこんで、これはこういう由来だったのかと話が弾みそうだ。
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サンタさんって独身だったの!?
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投稿日:2024/12/24 |
クリスマスを詠んだ俳句はたくさんありますが、
大島民郎さんの「子へ贈る本が箪笥に聖夜待つ」という句が大好きです。
クリスマスには本、なかでも絵本がとてもよく似合います。
クリスマスを描いた絵本もたくさんあって、
アメリカの絵本作家スティーヴン・クレンスキーさんのこの『しごとをなくしたサンタさん』も
そんな一冊です。
実はスティーヴン・クレンスキーさんにはこの絵本で絵を描いているS.D.シンドラーさんとのコンビで
『しごとをみつけたサンタさん』という絵本も書いていて、
こちらもオススメです。
ところで、サンタさんが仕事をなくすってどういうことでしょうか。
実はサンタさんはあまり計画性がなく、いつもクリスマスが近づくと大忙しになります。
それに反発したのが、サンタさんを手伝っている小人たち。
その中のひとりが、サンタさんにかわる「たくはいひこうせん」(宅配飛行船)をこしらえます。
どちらが有能か、サンタさんと競争して、宅配飛行船が勝ってしまい、
この年は宅配飛行船で贈り物を配ることになります。
サンタさんはとうとう仕事をなくしてしまいます。
ところが、いざ宅配飛行船で出発しようとすると、トラブル続きで、さあ大変なことに。
子供たちにプレゼントは届くのでしょうか。
もちろん、最後はサンタさんの大活躍でハッピーエンド。
でも、この絵本のハッピーエンドはまだ続きます。
サンタさんがなんと! それは絵本を開いてみての、おたのしみ。
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いつでも会えるね、スノーマン
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投稿日:2024/12/22 |
確か、『スノーマン』という絵本を読んだことがあったはず、
けれど、なかなか見つからない。そんなはず、ないのだが。
見つからないのには理由があって、
以前はこの絵本、『ゆきだるま』という日本語タイトルがついていました。
今は新装版となって『スノーマン』として出版されています。
世界で一番有名な「ゆきだるま」となった絵本『スノーマン』の作者、
レイモンド・ブリッグズさんが亡くなったのは2022年8月のこと。
だから、この『おかえりなさい、スノーマン』という絵本が
日本で2024年11月に出版された時、少し驚きました。
でも、描いたのがマイケル・フォアマンさんという、やはりイギリスの絵本作家で
友であったレイモンド・ブリッグズさんとの思い出に捧げるという献辞が
最初に記されています。
お話はレイモンド・ブリッグズさんの『スノーマン』を彷彿させるゆきだるまが
こどもたちに手で公園の一角につくられます。
このゆきだるまが、こまどりの声に誘われて、夜のロンドンの街を見て歩きます。
そのうちに、朝がやってきて、陽がのぼるとゆきだるまは溶け始めます。
あとに残ったのは、氷の心臓。
「どんなにときがながれても、きみはえいえんにとしをとらない。」
最後のページに綴られたこんな文章が、
いなくなったレイモンド・ブリッグズさんへのはなむけでしょう。
『おかえりなさい、スノーマン』は「またね、スノーマン」でもあります。
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さあ、しっかり勉強しましょう!
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投稿日:2024/12/15 |
野菜の種の発芽にとっても大切なものって何でしょう?
それは「水」と「温度」と「酸素」と言われています。
種を購入した際の袋にはよく「発芽適温」と書かれていますが、
ダイコンなどは暑い時期に蒔いても発芽しません。
この三つの要素以外に「光」を含めることもあって、
ニンジンなどは「好光性種子」と呼ばれています。
そんなふうに野菜をおいしく育てることを教えている学校があります。
それがなかやみわさんの『やさいのがっこう』シリーズの絵本です。
特にこの『なすびせんせいのおはなし』(2024年9月刊)は、
なすび先生が野菜の子どもたちに丁寧に教えてくれています。
最初は「太陽の光」の話。
土の中で育つダイコンやニンジンは葉っぱで光を吸収とか
みょうがやクレソンはひかげとか。
ジャガイモは光をあてると毒がでてくるので注意とか、
とても役立ちます。
その次は「水」の話。
ここでは水に浮く野菜、沈む野菜の、実験レポートもあります。
次は「土」のお話。
野菜によって、合う土の種類が違うことを学びます。
おしまいは「寒さと暑さ」の話。
野菜には夏野菜とか冬野菜という区分けがあります。
それぞれの季節にあった野菜の特長があるので、しっかり覚えておきましょう。
最近は一年中、キュウリやダイコンなどが売られていますが、
やっぱり一番おいしいのは、「旬」の時。
野菜たちはなすび先生の話をきいて、きっとおいしく育つことでしょう。
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町に書店はあるかしら?
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投稿日:2024/12/13 |
町の本屋さんの減少がとまらないという。
その一方で、「独立系書店」という小規模な書店が増えているそうだ。
「独立系書店」とは比較的小規模で個性的な店をいい、店主のこだわりがある本が並ぶ。
本を読む人は確かに減っているのだろうけれど、
それでも工夫次第で新しい書店の姿を見せてくれている。
ヨシタケシンスケさんの『あるかしら書店』は2017年に刊行された本だが、
いまでも本屋さんの平台に並ぶベストセラーだ。
こんな本あったらいいな、とユーモラスでしかもアイデア心満載だ。
例えば、「本にまつわる名所」本をさがしにきた人にはこんな本。
「本の降る村」(あたったら痛そうですが)、「お墓の中の本棚」(こんなお墓なら一度巡ってみたい)のような。
それにこの本はユーモアだけではなく、本屋さん愛にも溢れている。
「本屋さんってどういうところ?」という本を開いてみよう。
「本屋さんって、いい本を届けるために、いい本が未来にのこるために、いい本が生まれ続けるために、
日々、プロが右往左往するところ」だったり、
「本に助けられた人々が、本に恩返しするために、本に関わり続けるところ」なんて書かれていたりする。
このページを本屋さんの壁に飾っておきたくなる。
町から本屋さんがなくなるなんて、こんなに寂しいことはない。
この本のタイトルを少し変えるとこうなる。
町に書店はあるかしら?
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100年前の童話があべ弘士さんの絵で新しく
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投稿日:2024/12/08 |
この絵本の、小川未明の文は、『四年生の童話』(金の星社)掲載のものを底本にしているそうだから、
おそらく小学四年生あたりに学校で習うのだろう。
この『野ばら』は「日本のアンデルセン」と呼ばれた児童文学者の小川未明が
1922年に発表した短編で、すでに100年の時を経ていることになる。
それでもこうして、あべ弘士という現代の絵本作家の絵がついて
2024年9月に刊行されるのだろうから、
やはり戦争の悲惨さを描いたものとして、広く読まれ続けていくにちがいない。
あべ弘士さんの作品が好きなので、あらためて小川未明の物語に接することになった。
大きな国の老兵と小さな国の青年兵が国境で互いに見張ることになるところから話は始まる。
国境では何もすることがない。
近くの茂みの野ばらを愛で、みつばちの羽音も心地よい。
ある時から二人の兵士は言葉を交わしあい、将棋をさすようにもなっていきます。
ところが、二つの国で戦争が始まります。
敵ながら二人は戦うことができません。
それでも、青年兵は国の遠いところの戦場に出ていき、そのまま帰らぬ人となります。
老兵は国境に戻ってきて野ばらの匂いをかぐ青年の夢を見ます。
やがて、老兵も国境から去り、野ばらも枯れてしまうのです。
あべさんの絵で、100年前のお話がまた新しくなった。
世界から戦争がなくならない限り、このお話は何度もなんども読み継がれていくのだろう。
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最近の泥棒は手荒いけれど
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投稿日:2024/12/01 |
『星新一ちょっと長めのショートショート6』(理論社)。
表題作である「ねずみ小僧六世」をはじめとして、9篇の「ちょっと長めのショートショート」が収められた、児童書。
装幀・挿絵(それぞれの作品に挿絵がついています)は、和田誠さん。
『ショートショートセレクション』シリーズの場合、ひとつのお話に一枚の和田誠さんの挿絵でしたが、このシリーズでは2枚あったりして、こちらも「ちょっと多め」。
表題作の「ねずみ小僧六世」を見て、すぐに思い出すのはモンキー・パンチのコミック「ルパン三世」。青年雑誌に連載が始まったのが1967年というから随分古い。星新一さんがこのコミックのことを知っていたかどうか。
もちろん、「ルパン」というのはフランスのモーリス・ルブランが書いた小説に登場する怪盗で、その三世が活躍するという設定がなんともいい。
一方、星新一さんの「ねずみ小僧」は江戸後期に実在した泥棒だが、金持ちから盗みを働き貧乏ものに分け与えたという伝説があって、彼をモチーフにした小説やドラマも数多くつくられている。
星さんの「ねずみ小僧六世」も盗みの技にかけては天下一品で、しかも盗んだ金を返してしまうという「義賊」ぶり。盗みの手口の鮮やかさとラストのおちが効いている。
そのほか、未来の人類が古代の神として崇める現代人を風刺した「古代の神々」や人生の転機のたびにどこからか舞い込んで指示を与えてくれる「手紙」といった作品が面白かった。
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自然の命を味わおう
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投稿日:2024/11/17 |
絵本作家・あべ弘士さんの作品が好きです。
あべさんは、元旭山動物園の飼育員をされていた経験を活かして
代表作の『あらしのよるに』をはじめ、動物たちを生き生きと表現できる人気絵本作家です。
そんなあべさんの作品群からすると、
この『ギアナ・夜間飛行』は異色作といえます。
何しろ、動物たちがほとんど登場してこないのですから。
タイトルにある「ギアナ」は、南アメリカ大陸北部に位置するギアナ高地のこと。
あべさんがこの高地を旅して、そこから生まれたのがこの絵本です。
ギアナ高地では年間を通じて大量の雨が降るそうです。
それで山が削られ、不思議な形の山・テーブルマウンテンが出来たそうです。
この絵本にもその不思議な山が描かれています。
この絵本は「ヒコーキきょうだい」がそのギアナの空を飛ぶ冒険話になっていて、
彼らが見た大自然のすごさに圧倒されます。
ここにはあべさん得意とする動物たちの姿が描かれていませんが、
まるで竜のように力強く流れる川や満天の星に
命そのものの強さを感じます。
表紙裏と裏表紙裏の見返しに、これはたぶんあべさんが旅行の際にスケッチされたのでしょう、
いくつもの素描が掲載されていて、
あべさんの絵本が生まれるその瞬間を感じられるようになっています。
さあ、あなたもギアナの夜間飛行の旅にでましょう。
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冬のはじまりにこの一冊
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投稿日:2024/11/10 |
「落葉」は冬の季語です。
てのひらにすくへば落葉あたたかし(中岡 毅雄)
『俳句歳時記 第五版』の冬の部の、季語の解説にこうあります。
「天気のよい日の芳ばしいような匂い、散り重なったものを踏む音など、俳句にとどまらず詩情を誘う。」
この文そのままに、絵本の世界でも落葉の魅力が存分に味わえる一冊がこの『おちば』。
絵本作家で漫画家でもある、おーなり由子さんが文を書いて、
夫のはたこうしろうさんが絵を描いています。
おーなりさんのリズム感ある文章がとてもよくて、詩を読んでいる、そんな感じ。
「かさこそ、ぱり、ざく、こそそ、がさっ・・・」
文が歌っているかのよう。
それにあわせるように、はたさんの絵がいい。
「あかいはっぱ、きいろいはっぱ、とがったはっぱ、ちぎれたはっぱ」。
なんといっても落葉がきれい。
この絵本のように、落葉を山のように集めて、その上にジャンプする、
そんな夢のような場所はあまりないでしょうが、
絵本の中だったらそれを体験できます。
自分の体に舞い落ちてくる、たくさんの落葉たち。
見開き一面に真っている落葉の世界に、「だいがっしょうだ。」の一文が添えられています。
まさに、落葉たちの「大合唱」そのもの。
冬のはじまりに、こんな絵本の世界に浸るのも、いい。
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