![みどころ](/images/shoukai_midokoro.gif)
背が高い、低い、視力がいい、悪いなど体のこと、または外見的な容姿のこと‥‥‥自分にはどうすることもできない、努力だけではなかなか変えるのが難しいような悩みはありますか?
四年生の公太は背が低いのが大きな悩み。並ぶ時にはいつも一番前。「前ならえ」では両手をこしにあてるポーズしかしたことがありません。仲良しの希来良(きらり)は背が高く、手も足も長くて、公太にとってうらやましい存在です。一緒に入会申し込みへ行ったジュニアのバレーボールクラブでも、監督は希来良にばかり注目して、公太は嫉妬してしまいます。一方、同じクラスの筑井(ちい)さんは、視力が悪いのが悩み。メガネをかけたくなくて目に良いことをいろいろしているのに、視力が下がってしまい悩んでいます。そしてゲームやスマホなどし放題なのに視力のいいお兄ちゃんのことを考えて「不公平だよ」とつぶやきます。そんな筑井さんに、視力の悩みなんて背の悩みと比べたらたいしたことじゃない、視力と背では不公平のレベルが違う! と思ってしまう公太。その後、筑井さんがどれほど悩んでいるかを聞いたり、保健室の先生や、バレーボールのコーチ、お母さんの話を聞いて、人それぞれに違った悩みや劣等感があることを知っていきます。さらに、劣等感なんて持ったことがないと思っていた希来良から「公平がうらやましい」なんて言葉が飛び出して。いったいどういうこと!?
公太の目線を通して、悩みや劣等感を持っているのは自分だけではないこと、そしてその中身は、人それぞれ何を大事に考えているかによって違うこと、劣等感があっても跳ねのけている人もいること‥‥‥など多くの気づきがあるでしょう。
日本児童文芸家協会賞、野間児童文芸賞受賞等、数々の受賞歴があり、課題図書にも作品が多く選ばれている児童文学作家、いとうみくさんによる子どもたちの思いに寄り添う温かな物語。小学校低学年から中高生まで幅広く子どもたちの気持ちを丁寧に見つめ続けている、いとうみくさんからのエールが感じられます。
「不公平さは、だれにでも公平にある」
自分に劣等感を抱いたり、だれかと比べて不公平だと思ったりする気持ちをなくすことはなかなか難しく、その悩みに大きくとらわれてしまうこともあるでしょう。でも視点を変えたり違う考え方を知ることで、少しずつ前に進むことができる。そんな風に子どもたちの背中をそっと押してくれる心強い物語です。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
![出版社からの紹介](/images/shoukai_shuppansha.gif)
ぼくは背が低い。仲良しの希来里は、背が高くて手足も長い。そんなぼくらは、バレーボールが好きでジュニアクラブに入ることになった。体格に恵まれている希来里に、監督も嬉しそうにしている。そして、入部して半年で希来里はスタメンになった。ぼくだって、スタメンになりたい。けど、ぼくが身長に負けないためのトレーニングをしている間、希来里はその先の練習をしている。最初からある差は、縮まらない……これって不公平だよ! ところが、希来里に誘われた競馬場で……。 ――不公平さは、だれにでも公平にある 日本児童文芸家協会賞、野間児童文芸賞受賞等、数々の受賞歴があり、青少年読書感想文全国コンクール2年連続選出の著者が、等身大の少年達を爽やかに描いた共感を呼ぶ一冊。 【もくじ】 ●1:不公平だよ ●2:努力してもムダなこと!? ●3:悩める希来里 ●4:不公平は公平だ
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