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小学生のつとむが古道具屋で見かけた1さつの古い本。赤い表紙に金色の線でくるくるしたもようが書いてあり、『トムと3時の小人〈下〉』という題がつけられています。
面白そうと思いながらも買わずに帰ってきてしまったつとむはどうしても読みたくなり、次の日、町の図書館で本を探します。司書のおばさんにたずねると出してくれたのは、赤い本にそっくりでありながらも、表紙に〈下〉という文字がない、青い表紙の本でした。
図書館でも1冊しかなく古くて貴重だというその本は、貸出禁止になっていて、つとむは、どっしりとした〈旧館〉にある閲覧室で読み始めます。 お話は、トムという男の子が、しんせきのフローラおばさんの家で体験した1週間の不思議な物語。時間のたびに青いハトが飛び出してくる山小屋の形のハト時計、いつのまにか数がへっているおやつのゼリービーンズ、毎晩かならず見るまぶしいくらいの明るい夢‥‥‥。 「あしたの3時に、見はってごらん」 数々の不思議の理由は、いったい誰のしわざだったのでしょう。
物語を読み終えたつとむは、さらにつづきが読みたくなり、もしかしたら古道具屋で見かけた赤い表紙の本がつづきなのでは? と考え、ふたたび古道具屋をおとずれます。 はたして赤い表紙の本はまだ残っているでしょうか? さらに、古道具屋で、物語の中に出てきたものと同じような山小屋の形のハト時計を見つけたつとむは、本にまつわる新しい発見をし、心をはずませるのでした。
謎ときのようなドキドキ感がありながら、物語の世界と現実の世界が混ざり合い交錯していく様子に最後までワクワクが止まりません。特筆すべきは、1冊の本の中にもう1冊本が挟まっているという驚きのしかけ!(ぜひ手に取って体感してみて下さいね) 絵本から物語、YA作品までとびきりの物語で読者を楽しませてくれる、たかどのほうこさんの楽しい遊び心がたっぷりと感じられるような贅沢な1冊です。全ページカラーで描かれる平澤朋子さんの色彩豊かなさし絵や古い本の懐かしい雰囲気のさし絵もとても生き生きとしていて、魅力的です。
こちらは2021年6月に創刊された『GO!GO!ブックス』シリーズのはじめの1冊。『GO!GO!ブックス』というのは、読書が苦手な子も、「読むのが楽しくなる」「本を選ぶ楽しみが味わえる」「自分にぴったりな一冊と出会える」小学校中学年向け・創作読み物の新シリーズです。幼年童話や低学年向け読み物から、中学年・高学年、さらには大人向けの書籍へという、長い読書人生へ続く架け橋になればという願いが込められ、創刊されました。 文字は横書きで、全ページオールカラーの挿絵がついて読みやすく、けれども物語はぐんと読み応えがあって、小学校中学年(3、4年生)の読書を力強く応援してくれることでしょう。 ぜひ、この新しい本のカタチを体験してみて下さいね。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
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●あらすじ 小学生のつとむが古道具屋で見つけた、赤い表紙の本『トムと3時の小人』(下)。図書館で同じタイトルの本を読んでみると、それはトムという少年と「3時の小人」との出会いと別れの物語でした……。
主人公のつとむと、つとむが読んだ本の主人公トム、ふたりの少年の視点から日常の中にひそむ不思議を描いたファンタジー。
「本」にまつわる新しい発見に心はずませる少年の姿を、たかどのほうこの文と平澤朋子の絵で、生き生きと描きます。
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我が家の子供は、幼児期から低学年時期に、「つんつくせんせいシリーズ」「まあちゃんシリーズ」をはじめ、たかどのほうこさんの絵本をたくせん読んできたので、児童書(しかも中学年向け)もあって、とても喜んでいます。
ドキドキするストーリーやちょっと不思議な感じがするストーーリーも、たかどのほうこさんワールドを感じます! (まゆみんみんさん 40代・ママ 女の子11歳)
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