
オオカミは、人智を超えた存在として、祠(ほこら)にまつられた。
悪しきものをかみくだく神として。
ところが人の世には、彼ら以上におそろしいものがある。
オオカミを神としてあがめ、力を借りたいと思うほどのおそろしいものが。(序文より)
裏山の「大神さま」の祠を、代々守りついできた家系に生まれ、疫病の流行に苦しめられる江戸時代のカヨ、身近な人を戦争に送り出す第二次世界大戦時の正次、東日本大震災に大切な人を奪われる現代の美咲。
それぞれの時代の困難にのみこまれ、悩み、苦しみ、傷つきながらも、「大神さま」への祈りとともに懸命に生きる子どもたちの姿を描きます。
|