海辺のまちで床屋さんをしているおじいちゃんとおばあちゃん。ふうちゃんは、おじいちゃんのハサミの音や、床屋さんの匂いが大好き。
夏休みに遊びに来ると、ふうちゃんはおじいちゃんに髪を切ってもらった後、おばあちゃんが「ハナフリ」の話をしてくれたのです。お彼岸の中日になると見に行くというそれは、海に沈む夕日から目の前いっぱいにハナのような光のつぶが降ってくるんだと言うのです。
「わたしも みたいなあ…」
その後、おじいちゃんが突然亡くなり、久しぶりにおばあちゃんに会いにきたふうちゃんは、お彼岸にハナフリを見ようと坂の上までのぼっていき……。
和歌山市の港町「雑賀崎」を舞台に、人々の暮らしに溶け込んだ風習を、透明感あふれる水彩画で描かれたこの絵本。その瞬間の場面の美しさには息をのんでしまいます。地元に愛されていたおじいちゃんのお店、それを引き継いでいくふうちゃんの意思が伝わってくる、心あたたまるお話です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
ふうちゃんのおじちゃんとおばあちゃんは、海辺の町で床屋さんをしています。ふうちゃんは、おじいちゃんのハサミの音や、床屋さんの匂いが大好きでした、夏休みに2階で空を眺めていると、おばあちゃんが「ハナフリ」のことを教えてくれました。その後、おじいちゃんが突然亡くなり、お彼岸に二人が「ハナフリ」を見ようと…。ほのぼのとしたお話と、水彩画の透明感のある絵が魅力です。
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