
紹介してくださる方があって、読んでみた本です。
読んでみて紹介されている本が「ねずみ女房」と「注文の多い料理店」以外は読んだことがない本ばかりでした。
著者は、翻訳家の清水眞砂子さんです。
「はじめに」に書かれている言葉に共感するものがありました。
>私は、さまざまな物語をとおして、人間を計るものさしも「いま、ここ」を計るものがすべてではないということを知ったのだと思います。
>もうひとつ、子どもの文学が私に小さいときから伝え続けてくれたこと、それは人生は生きるに値するということ。子どもの言葉で言えば、大きくなるって素敵なこと、ということでした。
という箇所です。
紹介されている13作品の紹介文はどれも丁寧で読みたいと思える本ばかりでした。
清水さんが本を丁寧に読まれているだけでなく、登場人物たちとも対話されていたのだろうと思います。
「ねずみ女房」は、「はるかなものへの憧れ」という章で紹介されています。衣食住が充ちたりしていても、それだけでは人間の心は充たされません。
「ねずみ女房」を読んだ時、高楼方子の「時計坂の家」を思い出しました。
「ゼバスチアンからの電話」では、恋をした途端に交際相手に依存してしまった少女・ザビーネと、父に貞淑に仕えてきた母の自立が描かれていて海外作品でありながら日本にとても近いものを感じました。
「片手いっぱいの星」では、ダマスカスに生きる少年の成長を助ける精神的な面で助ける老人の姿がありました。
私が好きなカニグズバーグの「べーグル・チームの作戦」は実用の書として紹介されていました。
確かに、優れた文学には実用の書として実生活を支えてくれたり、参考になるものが多いように思います。
最後まで読んで、私は、人生にはいろいろ辛いこともあるけれど人生や人間は捨てたものではないということを改めて思いました。
単なる児童書案内ではなく、人生の書としてもお勧めです。 (はなびやさん 40代・ママ 男の子7歳)
|