素晴らしいふれあい
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投稿日:2009/12/24 |
ヒラP21さん 50代・パパ・千葉県 男の子12歳
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ちいさいときに脳性マヒにかかった近藤さん。それをケガのようなものだと言われます。
近藤さんにはこの言葉の素晴らしさをいただきました。
そして、保育園児たちとのふれあい。
子どもたちは、感性と表現がストレートです。大人たちが避けて通ろうとする道のど真ん中を歩いて、思ったことを遠慮なく口にする。それが、この絵本の中にある素晴らしさです。
子どもたちは「コンニャク先生」とニックネームをつけ、近藤さんから真正面に向かい合い、そして理解します。思いやりが生まれます。同じ人間なんだという共有間が生まれます。この経験は子どもたちの成長の中で大きく熟成されることと思います。
コンニャク先生も素晴らしい。子どもたちの中で、自分を解放しています。子どもたちと向かい合って歩いてみたり、遊んだり。きっと自分の大きなエネルギー源なんだろうな。
困ったことに、私は道の真ん中を歩くことも、ストレートに障害者にぶつかることもできない大人です。
ただ、理解してしまえば決して差別化する人間ではありません。
経験の中で、障害者とのふれあいは多くありませんが、様々な場所で時間を共にすると、自分よりも障害をもつ人間の方が元気で、一生懸命に生きていることを感じます。
そうすると、自分にもエネルギーがわいてくる。
この絵本は子どもたちのための絵本というばかりではなく、子どもたちと大人が共有して学ぶ絵本です。
さまざまに障害者の世界に取り組んでいる星川さんの姿勢も、また素晴らしいと思います。
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6年生に読みました パートU-@
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投稿日:2009/12/31 |
あんぴかさん 40代・ママ・宮城県 女の子15歳、女の子8歳
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前回は、65年前の戦争のことを描いた絵本を読みました。
今回は、今現在 中東で戦争やテロによって、
家族を失い、住むところも無くし、
自分の国を捨てざるを得なかった、2人の少女の友情の物語を読みました。
読む前に、
この本が現役の高校生の翻訳であること。
原題は「Four Feet Two Sandals」だけど、
「ともだちのしるしだよ」の方が親しみやすくて、友達の物語なんだなとわかりやすくて良いよね。
この本は、一人の難民の女の子が
「なぜ、私たちみたいな 子どもをえがいた本がないの?」という言葉がきっかけで、生まれました。。。と
ここまで、話してから
『難民』という言葉を聞いたことがあるかどうか、聞いてみました。
さすが6年生。
何人か手が挙がり、「ニュースで聞いたことがある」と答えてくれました。
「この絵本に登場する女の子たちは、アフガニスタンとパキスタンの国境にあるペシャワール難民キャンプというところに居ます。
今度テレビでその言葉を聞いたら、この絵本のことを思い出してね」
と お話ししてから、ページを開きました。
物語は、難民キャンプの中での話なので、
戦争の描写も、直接誰かが死んだり怪我したりする描写も出てきません。
それでも、
一足のサンダルを大人の足の間から砂ぼこりにまみれて、やっと手に入れる同世代の女の子。
何日も歩き続けて、足がひび割れ、腫れている少女。
家族を失い、国を出て、心細くキャンプで生活している様子。
女の子だから、学校に行けなくて、自分の名前さえ書けないこと。
難民の悲しみが、耽々と描かれています。
この事が、今・現在、同じ地球の上で、同じ世代の子供たちが、経験していることだと、
目の前の子供たちに伝えたい…と思いながら読みました。
教室では、特に、女の子たちの目が真剣でした。
女の子同士の友情に、共感するものがあったのでしょうね。
しんみりとした空気で、この本を読み終えました。
3分ほど時間が余ったので、
「ぼくがラーメンたべてるとき」を続けて読みました。
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目に見える鉄条網だけど
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投稿日:2009/12/24 |
ヒラP21さん 50代・パパ・千葉県 男の子12歳
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本の表から裏までが鉄条網が張り巡らされています。
何処の国の話なのでしょうか? 鉄条網のこちら側は廃墟、向こう側には住居が見えています。そして、兵士がこちらを監視しています。
前書きを見ると、平和へのメッセージがフォアマンさんの変わらぬテーマだとのこと。何処の国かを特定するよりも、鉄条網の意味と少年の育てた木の意味をしっかり掴めばよいのだと思います。
廃墟の片隅で芽吹いた芽を少年は大切に育てます。育てた木はブドウ。ブドウは鉄条網に絡まり鉄条網を隠して少年たちの遊園地を作ってくれました。
それを向こう側の兵士たちが引き抜いてしまう。
兵士たちには、ブドウよりも鉄条網の方が意味があるのです。
引き抜いて放り置かれた木から、新たな芽吹きがあります。今度は向こう側の少女が育て始めます。こちら側でも新たな芽が出てきて。
両方の木が鉄条網で絡み合いました。平和への願い。それを子どもたちが育てたことにとても大きな意味を感じます。
そして、もう一つの主役はブドウの根の生命力。引き抜かれても枯れることなく地中で根を張って再び芽吹いてきます。ブドウの力強さにも感銘しました。
鉄条網など気にせず、互いの子どもたちが一緒になって丘を目指す最後のシーン。
ここに兵士たちや大人がいないことも、子どもたちに託す未来を象徴させているようにおもいました。
とても感銘深い絵本ですが、簡潔なストーリーの前後に作者のメッセージと、訳者のメッセージがこの絵本への思いを語っています。前書きのフォアマンさんの話は記述しましたが、後書きは訳者の柳田邦夫さんの思いが込められています。
メッセージ性の強い絵本と柳田邦夫さんがそれを選んだという時点で、この本の意味がとても強いと思います。
フォアマンさんの絵本を読んでいこうと思います。
柳田邦夫さんの訳した本を辿っていくと、親として子どもたちに何を伝えれば良いのか、考える参考になると思います。柳田さんの訳本もお薦めです。
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四十五年後の再会
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投稿日:2009/12/22 |
ヒラP21さん 50代・パパ・千葉県 男の子12歳
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私が小川未明の童話を好んで読んでから、考えると45年もの年月が経っている。中でも好きだったのが『赤い蝋燭と人魚』。絵の記憶がないのでたぶん作品集の中の一つの話だったのだと思う。
今回この本を手に取ったのは、酒井駒子さんの絵の影響が大である。
考えると、酒井さんの絵の画質はこの童話にぴったりと当てはまっている。
童話の中で描かれる人のサガ、ろうそくに込められた重い伝承、運命、そしてこの話のもつおどろおどろしさを見事に描き切っている。
救いようのない暗い話である。
人魚の子供を拾い上げ、愛情をこめて育てた老夫婦が、怪しげな香具師の言葉にそう簡単に心変わりするものだろうか。
かつてこの本を読んだ自分は、老夫婦が鬼に変わるような心変わりが怖かった。
怪しげな香具師と南国に向かう船という、不思議な異国性に妙な魅力を感じたものである。
そして救われない人魚の運命の不条理を、どうして助からないのか、この話の設定を忌みながらも、目を覆った手のひらの隙間からやっぱり眺めてしまう小川未明の魔力に感嘆していたのである。
この絵本の良さは、ろうそくを蝋燭と書き、漢字が多いことである。難しい言い回しを漢字に振り仮名をつけることで通していることである。
ひらがなや現代文に置き換えてしまったら、小川未明の良さは失せてしまう。
したがって、この本は読む本である。
少しの抵抗の後、虜になってしまうような魔力を小川未明は持っている。
酒井さんの絵の魔力と共通しているのかも。
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絵本も書かれていたんだ〜。
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投稿日:2009/12/10 |
てんぐざるさん 40代・ママ・埼玉県 女の子14歳、女の子9歳
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感想は聞いてませんが、中2の上の子が真剣に読んでいました。
内容はそれほぼ真剣になるようなものではなく。「夏」の出来事を一枚の写真のように描いている作品です。
この新沢さんという作者を工藤直子さんの講演会で知り、(シンガーソングライターと聞いていたので、)
あら、この方は絵本も書かれてるんだ。題名は夏だけど、気になるから読んじゃえ〜、って、ノリで図書館で探してきました。
イラストはあべ弘士さんが担当されています。
あべさんの表紙の鳥の絵がなんともいい!です。
主人公の「ぼく」の大きく描かれた麦わら帽子や、魚の代わりに釣れた「くつ」インパクトがあって、素敵でした。
文章も必要なことだけ描かれていて、大変読みやすかったです。
すごくいい絵本だったので、読み語りとかで紹介したいですが、
読むのはやっぱり夏がいいですね。
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学校の壁新聞みたいで面白い
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投稿日:2009/12/12 |
てんぐざるさん 40代・ママ・埼玉県 女の子14歳、女の子9歳
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動物好きのお子さんがあるお宅では外せない作品ではないでしょうか?
うちはかなりハマりました。
中2のこの本ですが…。小4の方は、「字がいっぱい細かくて、読むの面倒〜」と、言われてペラペラめくるだけでした。
まず、発想が面白いです。
有名な絵本作家さんたちが、「生き物の記者になったつもり」で地球各地のニュースを届ける。というコンセプトで、学校の壁新聞みたいな作りになっています。
クイズ・4コマ漫画(新聞にありがち)・歌や人生相談の欄まであって、ゆっくり読むと色々書いてあって楽しいです。
私が一番ウケたのは、
「ドラミサワタマヨの今日のお料理」コーナーこれ、
冬の号ではお鍋の作り方だったのに、解説の料理の先生がネコなもんで材料に冷たいご飯とか、魚のお頭とか、またたびパウダーとか書いてあって、「熱いので、一晩さまします」って、コメントが載ってるの!
笑えます。面白かったです。
学校の壁新聞なんかのヒントもたくさんあるので、新聞係の子どもたちにも薦めたくなる作品でした。
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ティリーは「はじめてのおつかい」の気分?
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投稿日:2009/12/10 |
てんぐざるさん 40代・ママ・埼玉県 女の子14歳、女の子9歳
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図書館の「クリスマスの絵本コーナー」においてあったので、子どもたちにいいかな〜と、借りてきました。
どうやらシリーズものの2冊目のようです。
いきなり木の人形のティリーが小さな部屋をクリスマスバージョンに飾っているのを見て、とてもきちんと設定を考えられている絵本だ。と感じました。
正直、日本の小さな子どもたちにティリーのようなタイプの人形が可愛いとはあまり思えないかもしれないけど、
小さな人形のティリーが外の世界へ出て、親友のくまのぬいぐるみエドワードをさがす。という冒険話は、共感できる気がします。
幼稚園くらいの年齢の子に、「はじめてのおつかい」をさせる人気番組がありますよね。そこに出てくる子どもたちのような気持ちと似ているのではないかな?
絵は描写がとても細かくて、素晴らしかったです。
特に私はティリーが道路を渡ろうと思って出来ずに街灯にしがみついて色々な乗り物をやり過ごすシーンが気に入りました。
街灯の根元の部分しか描かないことで、ティリーの恐怖がよくわかりました。
ティリーの活躍で、無事エドワードは吸湿されるのですが、家に帰ってくるまでの流れがドキドキするので、気になる方はぜひ、お子さんと読んでみてください。
クリスマスシーズンのこの時期にとても似合う、素敵な絵本でした。
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いきな落語とブラックユーモア
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投稿日:2009/12/20 |
ヒラP21さん 50代・パパ・千葉県 男の子12歳
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死神という不吉な神様の話だけに、ブラックユーモアたっぷりですが、落語をベースにして、読み気かせに楽しい絵本になっています。
落語がベースだから、おかみさんやら、死神やらいろんな登場人物が現れますが、こ気味の良い語り口調で話が進みます。
死神をだますという、主人公の悪知恵。それで、自分の寿命を縮めてしまいます。
「人の不幸をこんな笑い話にしてしまってよいのだろうか?」とも思いますが、死神の描かれ方、死神も居眠りするのだと妙な納得納得のさせ方、いろいろと唸るところが多い作品ですが、一面のろうそくが描かれている所などは、絵でなければ表現できない世界。
最後に自分のくしゃみで、せっかくもらった長いろうそくの火を消してしまうくだり、何のことばもいらず、くしゃみだけで全てが説明できてしまう。絵にして見事です。
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字を追わずに絵を見たい作品
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投稿日:2009/12/09 |
てんぐざるさん 40代・ママ・埼玉県 女の子14歳、女の子9歳
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ナビで少し前に紹介されていて、作者のふくださんが「空」について語ってらっしゃったのを読んで、読んでみたいな〜と、思っていました。
この絵はもしかして、油絵?
「空」をテーマにした絵本というのは、自分の勝手な想像の中で淡い色合いの水彩絵の具とかで表現されるのかと思っていたので、油絵の質感に少しびっくりしました。
案内役が猫なので、全体が視線を上げるような印象を受けました。
私と上の子は、坂道の花の中で、猫が蝶々を見ている絵が一番気に入りました。
空と雲と、後ろに見える家々と、花と猫のバランスが絶妙!です。
あとね。
「かえろう かえろう かえろう かえろう」のページの夕焼け空も素敵です。その1ページ前はもう少し水色の空の部分が多いんですが、1ページめくると、そこはもう「逢魔が時」の夕暮れで、こういう夕暮れの時間が私は好きです。
ハッキリした絵に、短い文章で、低年齢の子でもわかる読みやすい絵本かと思いますが、どちらかというと、この絵本は字を追うのではなく、絵を見て楽しみたい絵本でした。
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リアルな世界とふしぎな世界
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投稿日:2009/12/09 |
てんぐざるさん 40代・ママ・埼玉県 女の子14歳、女の子9歳
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中学生の方は「すごい!」といっていました。小4の下の子はちょっと魚の絵が怖かったそうです。(たぶんリアルすぎてかな〜)
文章らしい文は1文もありません。絵だけで見せてくれる絵本です。
海辺でふじつぼがこびりついている古いカメラを、少年が見つけたことからこの物語は始まります。
ページ数はそれほどありませんが、細部までこだわりを持って描かれているのが、読むとよくわかります。
リアルな部分、謎かけのような写真、そして、後半の海の中のふしぎの世界の部分。
それぞれが違和感なく魅せられていて、すごく良かったです。
文章がないので、読み語りなどで使うよりも、子どもたちに紹介するなら、ブックトークがいいと思います。
うちの子の反応を見ると、低学年より高学年向きです。好き嫌いがはっきりです作品かもしれませんが、個人的にはお薦めの1冊です。
そして、どちらかというと夏向きの絵本です。
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命と心のバトン
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投稿日:2009/12/16 |
ヒラP21さん 50代・パパ・千葉県 男の子12歳
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「長い道のりを 歩いてきたお年寄りは 人生のバトンを きみたちに渡して 去っていくのだ。 生きる喜び、悲しみ 身につけた知恵 そして 人へのやさしさにみちた バトンを。」
この本の冒頭に書かれたこの詩がたまらなく好きです。
そして、5つの物語に通じている子どもたちへのメッセージを見事にまとめていると思います。
5つの物語は、すべて死と結びついています。それでいて心和むお話ばかりです。
携帯電話をほしいと駄々をこねて、家でまがいの隠れん坊をしたこうじ君とおじいちゃんのお話。
おばあちゃんのへそくりを使い込んでしまったおじいちゃんが、シュン君をてなづけようとして、8歳の孫の成長を痛感するお話。
それからそれから、きんもくせいのおばあちゃん。にえもんおじいちゃん。
みんなとても人情味あって…。
最後はお父さんのお話だけど、お父さんが亡くなってから知ったお父さんの偉大さ。
あまり書くといけないのかもしれませんが、全部の物語が読んでくれる子どもたちにバトンを渡そうとしています。
命と心のバトン。一番感受性豊かに受け止めてくれるのは高学年から中学生のような気がします。
顔には出さず、心で受け止めてくれる子どもたち。
押し付けるのはやめましょう。
年末に最高の本に出会いました。
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田舎の駅の日常の細密画
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投稿日:2009/12/16 |
ヒラP21さん 50代・パパ・千葉県 男の子12歳
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田舎の駅のありふれた日常を描いています。その描き方にとても細かい配慮があります。雪の日であることが、さらに膨らみを見せてくれました。
言葉なしの絵本だから見る側に任されている部分が多いのですが、同じ佐々木潔の『なつのおわりのうみは…』に比べると、ディテールへのこだわりが多いだけに淡々とし過ぎているように思いました。
田舎の駅。
今ではあまり見かけないタブレット方式。
単線で、上り下りの入れ替わりのある駅。
この駅員さんは、雪かきをしたり、通る列車のタブレットを交換したり(タブレットの色が変わっているところがポイント)、客車に乗る人たちと話したり、貨物車の荷物の受け渡しをしたり、合間には駅舎の中で何かしている様子まで見せてくれます。
朝早くから夜遅くまで働いているので(駅舎の中の姿も見せてくれます)、ひょっとするとこの駅舎で生活していたりするのでしょうか?
駅名をさりげなく隠れるようにしているのですが、いろいろと細かい配慮があって、間違い探し状態になってしまう可能性もある絵本です。
言葉のない絵本ですが、ぬくもりを感じる絵本。
ですが、『なつのおわりのうみは…』で感じた心の描写に対して、淡々としている分余韻が少し少なかった分星ひとつ減らしました。
佐々木さん、ごめんなさい。
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やさしい悪魔と、純粋な少女のお話し
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投稿日:2009/12/14 |
ヒラP21さん 50代・パパ・千葉県 男の子12歳
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タイトルといい、絵といい、不思議な絵本です。
老いて魔法の使えなくなった、腹ぺこの悪魔が出会ったジプシーの少女に感じたのは食欲と少女への思いやり。
自分自身で葛藤して、少女の選択に委ねます。
毒りんごになって、少女が食べれば死んだ少女を食べるとしよう。
しかし、少女はおいしそうなりんごを目にしながら空腹をがまんして悪魔が帰ってくるのを待ちます。
その心にうたれた悪魔の涙。
少女は母親と再会し、しあわせな日々。
悪魔はりんごの木になったけれど後悔はしていないのでしょう。
少女が育ち、結婚して、子どもが生まれる。
歳月が過ぎても少女は悪魔が戻ってくるのを待っているのです。
ホンの1日足らずの出会いが、少女にとっても、悪魔にとってもとても大きな時間となりました。
少女は悪魔を命の恩人と思っているのでしょうか?
それほど長い間、悪魔を思う心が続くのでしょうか?
考えれば不思議な話です。
そして、不思議なくらい心温まってくるお話です。
宇野亜喜良さんの、少し偽悪的で乾いた絵がマッチしています。
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ありのままの自分を、否定する絶望感。
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投稿日:2009/12/15 |
ちゅら。さん 40代・ママ・千葉県 男の子12歳
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このお話しは、肉食獣のライオンがウサギを食べるという、当たり前のことから始まります。
ライオンが自分が食べてしまったウサギの子どもを育てることになり、父性が芽生える。
親を食べられた子ウサギの目線からライオンを責め続けていくお話しです。
そして、ライオンが肉食であることを自己否定するようになってしまう。
ライオンはライオンであればいい。
立派なライオンになればいいのです。
天寿を全うして、もし花になることがあるとすれば・・
その時に綺麗な花になればいい。
そしてもしまたライオンに生まれ変わるのであれば・・
生きるためにウサギを食べ、また立派なライオンになればいい。
この本は、大人にも子どもにも読めません。
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たこ焼き大好き
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投稿日:2009/12/09 |
ヒラP21さん 50代・パパ・千葉県 男の子12歳
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重量感のある絵本を続けて読んでいると、このような絵本でホッとするのです。
しかも我が家もたこやき大好き家族。
たこ焼きのつくりかたのお勉強感覚で楽しみました。
今度はお父さんたこ焼きの教えをまもって、命あるたこ焼きを作りたいと思います。
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悲しすぎるけど受け止めたい実話です
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投稿日:2009/12/09 |
ヒラP21さん 50代・パパ・千葉県 男の子12歳
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読み終えて、救いようのない悲しみに包まれたのです。
同じ国民が闘い、人種を越えた友情があった。それも奴隷解放に向けたリンカーンの政策による南北戦争。
文字も読めない15歳のシェルダンにとっての戦争は何だったのだろう?家に帰りたい。
ピンクスにとっての戦争は自らを奴隷制度から解放するための闘い。
それにしても、同じ人間同士、国民同士が殺戮の中で振りまわされてしまうのです。
怪我をしたシェルダンを助けた黒人のピンクスは、自分の家に彼を連れ帰って怪我を治療します。
家には母親一人。父親は戦争に行き、他の者は逃げてしまった。すべて戦争のせいです。
その母親が二人を守るために南軍に殺されてしまいます。
そして、二人も南軍に捕えられて捕虜収容所へ。
シェルダンは生き残り、ピンクスは殺されてしまったという。
これを運命と言ったらあまりに悲しいことでした。
これが事実と言ったら、現代はその史実の上に成り立っているのでしょう。
この物語のキーワードは腕。それもリンカーンと握手した腕が、ピンクスに取ってもシェルダンにとってもとても大きな意味を持っていました。
ただ、タイトルは原題の「ピンクとセイ」の方が好きです。
心の通い合いの物語だから。
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ひと味違うビロードうさぎ
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投稿日:2009/12/05 |
ヒラP21さん 50代・パパ・千葉県 男の子12歳
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「ビロードのうさぎ」をいろいろ探索していたら見つけた本です。
これだけ、愛された名作なのだと思いました。
同じ原書から翻訳されているのですが、いしいももこさんとひと味違います。饒舌で柔らかい感じ。いしいももこさんの作品よりすこし若年の女の子向けといった感じです。
テイストとしては、石井さんの最初の翻訳と新訳との中間の感じです。
ビロードうさぎの世界を見るのには面白い作品です。
原書も別の作者が書き直したものがあって、男の子を女の子に置き換えたメルヘンバージョンも見つけました。(Flavia And the Velveteen Rabbit)
その本の日本語訳があったら、読んでみたいと思います。
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ほんとうのものになったうさぎと絵本
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投稿日:2009/12/05 |
ヒラP21さん 50代・パパ・千葉県 男の子12歳
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中学1年生の読み聞かせというものをはじめてしました。
その課題として渡されたのがこの絵本。
この絵本を読んで、酒井駒子さんの絵本と「ビロードうさぎ」の世界にのめり込んでしまいました。
絵が素晴らしい。話が素晴らしい。
抄訳と知って原型となる物語を読んでみると、見事に「ビロードうさぎ」のエキスが結晶となっていて、素晴らしさを損なうことなく酒井ワールドに昇華されていることが解ります。
お手伝いさんが原書通りナナの名前を持ったことで、登場人物がはっきりイメージできました。
それ以外は、とぎすまされた語りの向こうに物語りが拡がっていることを実感できます。
行間の果てしなさと描かれた絵から拡がる宇宙。
酒井ワールドの素晴らしさです。
クリスマスのプレゼントとして渡されたうさぎと少年の心の通い合い。
病気の少年への献身と、病気の菌のために焼かれてしまうという悲しさ。
本当のうさぎに生まれ変わるという素晴らしさ。
話自体に涙腺は刺激されっぱなし。
クリスマスの時期に最高のプレゼントだと思います。
その物語を自分の世界で再構築した酒井さんに乾杯!
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いしいももこさんのこだわり
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投稿日:2009/12/05 |
ヒラP21さん 50代・パパ・千葉県 男の子12歳
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感動した酒井駒子さんの「ビロードのうさぎ」が抄訳であることが気になり、探した原作といしいももこさんの絵本です。
酒井駒子さんの絵本から入った私には少し違和感がありました。それは文章の長さ。読み聞かせには少し向かないようです。
しかし、これが原作の物語。これはこれできめの細かさがあってとても素晴らしい。
多くの人に愛され、多くの国で訳され、翻案本も出ているのですから、原点としての偉大さを感じます。男の子が女の子を置き換えたメルヘンバージョンも目にしました。
この本の素晴らしさは、石井桃子さんのこだわりです。
いしいさんの訳としては以前に「スザンナのお人形」と合冊で「ビロードうさぎ」の旧バージョンが出版されています。
訳としての古さを感じたいしいさんが翻訳をし直しました。子供に伝えるためには今の子供に伝える言葉でとの思い。
それだけ思い入れがあったのです。
原作のFairyが前作では仙女だったのですが妖精になりました。
できれば、これを読んでから酒井バージョンを読んだら良かったと思います。
ついでながらウィリアム・ニコルソンの絵、原作ではそれぞれに題が付いていました。
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強情な女の子とほんとうの物になった人形
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投稿日:2009/12/05 |
ヒラP21さん 50代・パパ・千葉県 男の子12歳
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強情なスザンナ。大事な花びんを壊しておいて、自分のお金で弁償するからいいと素直になれません。
反抗期でしょうか?
両親の解決法はとてもドライ。スザンナのおもちゃを子どもたちで競りにかけて、花びんの弁償代を作ろうと言うのです。(日本では考えられませんね)
自分の大事な物のはずなのにスザンナはそれでもあやまりません。
最後にスザンナの頑な心を開いたのは、競売にかけられた他のおもちゃではなく、ボロボロになった人形でした。
それほどに愛された人形。ほんとうのものになった人形はスザンナが心許せる友だちだったのですね。
話の終わりに、売った物はもう帰らないと釘がさされていますが、これって日本で考えたら「やりすぎ」。こういう教育もあるんだな〜。
と、この本は「ビロードうさぎ」も重要な物語です。
ほんとうのうさぎになったビロードうさぎのお話し。
後に「ビロードうさぎ」だけでいしいももこさんが翻訳し直していますが、この本では言い回しの古さとともに輝いているものを感じることができます。
2002年に出版された「ビロードうさぎ」と読み比べてみることをお薦めします。
この本については、「スザンナのお人形」と「ビロードうさぎ」をカップリングにした企画といしいももこさんの思いに賛辞を送りたいと思います。
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