日本語版刊行30周年♪想いのつよさをくらべっこ♥
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本屋の裏の森の中にもう一軒。なんとそこは……!「ようこそ、みなさん。おあつまりですね」。毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介するのは、『かえるのほんや』です。一体どんな本が売っているのでしょう?
NEXTプラチナブックとは…?
絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。
そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。
みどころ
その本屋があるのは、町のはずれの古い本屋の裏庭とつながっている森の、池のほとりのやなぎの木の根元。葉っぱにかくされた入り口を入っていくと、そこにいるのは……たくさんのかえるたち! そう、そこは「かえるのほんや」なのです。
「かえるが本を読むの?」
いえいえ、そんなことで驚いている場合じゃありません。だって、この本屋で人気のある絵本は、みんなこのお店でつくっているんです。紙、絵の具、のりだって手作り。さらにお話だってここにいる作家たちが考えているのです。でも、今日はおはなしづくりが行き詰まっている様子。そんな時は草のハンモックで昼寝が一番。ところが……?
今日のおはなし会で読む絵本は、おたまじゃくし達に人気の『たまごからかえる』や、しっぽがある子どもに人気の『こわいこわいへび』、本屋を最初に作った店長のお話『ほんやをつくったかえる』の3冊。お話会が終わると、それぞれ好きな本を読んで、気に入った本はへびのぬけがらと交換して購入することもできます。なんだかよく見たことあるような光景。そして、奥の部屋に入っていくと……?
かえるたちが本づくり! そしてここからは、新作絵本が生まれるきっかけとなる大きな出来事が。
「ぼくたちって ほんとに すごい かえるじゃない?」
本当に、本当にそう思いますよ。かえるたちが最初から最後までずっと大活躍する様子は、何度読んでも飽きることがありません。かえるたちへの深い愛情を感じる作者やぎたみこさんの絵も素晴らしく、子どもたちはきっとかえるが好きになってしまうでしょう。
「ほんやが あって よかったな。」
深く深くうなずきながら、そっと絵本をとじるのです。
本がある暮らしが、みんなの心を豊かにしてくれる。かえる達の嬉しそうな表情を見ながら、そう確信するのです。巻末には、「かえる文字」の一覧表も。
細かい場面の一つ一つを楽しみながら
「かえるのほんや」で売っている絵本は、知識の絵本やハラハラする怖い絵本、さらにはこの本屋をつくった店長のお話まで。その内容は本当に幅広く、興味深いものばかり。新作絵本を催促される作家たちの様子や、完成した絵本がはじめて披露される瞬間なども、なんだかとっても描写がリアル。そうやって細かい場面の一つ一つを楽しみながら、本が生まれて読者の手に届くまでの流れを自然に理解することができるのです。本があるって…。
この書籍を作った人
兵庫県生まれ。武蔵野美術短期大学卒。イラストレーターのかたわら絵本を学び、第27回講談社絵本新人賞佳作を受賞。「大人もいっしょに楽しめる、子どものための絵本」の制作をつづけている。絵本の作品に『くうたん』(講談社)、『もぐてんさん』(岩崎書店)がある。夫・娘・息子・亀・犬とともに千葉県松戸市在住。
磯崎 園子(いそざき そのこ)
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長として、絵本ナビコンテンツページの企画制作・インタビューなどを行っている。大手書店の絵本担当という前職の経験と、自身の子育て経験を活かし、絵本ナビのサイト内だけではなく新聞・雑誌・テレビ・インターネット等の各種メディアで「子育て」「絵本」をキーワードとした情報を発信している。著書に『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)がある。