のりもの好きな子大集合!
おーい、めをさませ! そのままだとやばいぞ! 毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介する絵本は、五味太郎さんの『めをさませ』。なにやらただならぬ気配……いったいどんな内容なのでしょう?
NEXTプラチナブックとは…?
絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。
そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。
みどころ
「うっとりねてたら・・・・
おちました」
あららら、だいじょうぶ? 目をつむったまま落ちてるよ。寝ているの? おーい、めをさませ! そのままだとやばいぞ!
縦開きの絵本の画面の中をどんどん落ちていくのは、なんだか可愛いらしいいきもの。三日月の上でうとうと寝ていたら、うっかりそのまま落ちてしまったようなのです。はらはらしながらページをめくっていくと。
「ん? おちてる?」
どんどん落ちていく様子を見て心配するのは、まわりのお星さまやこうもりたち。なにしろ本人が落ちていることに気がついていない様子。そのままだと本当に……と、ここではっと目を覚ました「ぼく」。
「なんでおちてるの?」
確かにぼくは落ちている。でも、ぼくは……。
落ちながら、彼は大事なことに気がついたようです。そう、落ちている時は気がつかないのかもしれない。でも、たとえば誰かの声が届いたら。あるいは彼みたいに自分で自分に気がつけば。とりかえしのつかないことになる前に、きっとなんとかなってくれるはず。さあ、きみも。
「めをさませ!」
とにもかくにも
落ちている時は、自分が落ちていることに気がつかない。そんな様子を想像すると、なんだかゾッとしちゃう。だけど気がついていないんだから、いいのかな。たまには、とことん落ちてみるのもスリルがあっていいのかも? いやいや、やっぱり。とにもかくにも、今自分が「めをさましている」のかどうか。そこがわかっていれば問題ない。子どもたちだって、同じだよね。
この書籍を作った人
1945年東京生まれ。桑沢デザイン研究所卒業。絵本作家。子どもから大人まで幅広いファンを持ち、その著作は450冊を超える。世界中で翻訳出版されている絵本も数多い。「かくしたのだあれ」「たべたのだあれ」(以上文化出版局刊)でサンケイ児童出版文化賞受賞のほか、ボローニャ国際絵本原画展等、受賞多数。「みんなうんち」(福音館書店刊)、「きいろいのはちょうちょ」(偕成社刊)、「さる・るるる」(絵本館刊)などの作品がある。
磯崎 園子(いそざき そのこ)
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長として、絵本ナビコンテンツページの企画制作・インタビューなどを行っている。大手書店の絵本担当という前職の経験と、自身の子育て経験を活かし、絵本ナビのサイト内だけではなく新聞・雑誌・テレビ・インターネット等の各種メディアで「子育て」「絵本」をキーワードとした情報を発信している。著書に『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)がある。