テレビで話題!いま、かんがえてみませんか?
- ためしよみ
青くて、大きなブローチのついている素敵なぼうし。だれのかな? 毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介する絵本は、『ぼうし』。ひとつの青いぼうしをめぐっておきた、ちいさくて可愛いお話です。さて、どんな内容なのでしょう。
NEXTプラチナブックとは…?
絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。
そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。
みどころ
野原にぼうしが落ちているよ。
青くて、大きなブローチのついている素敵なぼうし。だれのかな?
ぞうさんには小さいみたい。やぎさんはつのがひっかかっちゃうね。
うさぎさんにも、ねずみさんにも。
動物たちがかわるがわるぼうしをかぶってみるけど、合わないみたい。
すると、誰かがやってきて……
「あ、ここに あった!」
ぽつんと落ちているぼうし、それは魅力的なぼうしです。こんな素敵なぼうしを見つけたら、だれだってかぶってみたくなりますよね。
ところが小さすぎたり、うまく頭に乗らなかったり。ねずみさんには大きすぎて、まるで姿が見えません。いくら素敵だからといって、これではぼうしをかぶる意味がありません。その時、颯爽とあらわれたのが、マフラーをした小さな子ども。
「あ、ここにあった!」
持ち主のもとにもどって、ぴったりと頭におさまったぼうしは輝いてみえます。それはもう、動物たちもびっくりして見とれてしまうくらい。とても似合っているのです。
こみねゆらさんの最新作は、ぼうしをめぐる、小さくて繊細で、とっても可愛らしいお話。大切なぼうしと一緒に、宝物にしたくなる絵本ですね。
お気に入りのぼうしをかぶった時には
動物たちが、その青いぼうしに魅入られているのはよく伝わってきます。それでも、ちょうどぴったりな頭のサイズにおさまった様子を見れば、誰もが納得してしまうのです。「ぼうしにとって大事なのは、似合っていることなんだ」と。でも、この絵本のもう一つの大きな魅力は、青いぼうしをかぶった子どもを見た瞬間の、動物たちの純粋無垢な表情。まるで絵本の向こうから、こちらを見ているみたい! そんな顔で見られたら、嬉しくなってきちゃうのです。お気に入りのぼうしをかぶった時には、このページを開いてみようかな。
この書籍を作った人
熊本県生まれ。東京藝術大学美術学部絵画科、同大学大学院で油画を学ぶ。1985年に渡仏、パリボザールに通う。1992年、初めての絵本『Les deux Soeurs』を出版。1994年に帰国後、絵本作家、イラストレーター、人形作家として活躍。『さくら子のたんじょう日』(作/宮川ひろ 童心社)で第10回、『ともだち できたよ』(文/内田麟太郎 文研出版)で第18回日本絵本賞、『オルゴールのくるくるちゃん』(講談社)で第47回講談社出版文化賞絵本賞を受賞。絵本に『こどもべやのおともだち アンナとビイプ』『ミシンのうた』(講談社)、『もりのちいさなしたてやさん』(風濤社)など。装画に『すきまのおともだちたち』(作/江國香織、集英社)、『魔法のたいこと金の針』(作/茂市久美子 あかね書房)などがある。
磯崎 園子(いそざき そのこ)
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長として、絵本ナビコンテンツページの企画制作・インタビューなどを行っている。大手書店の絵本担当という前職の経験と、自身の子育て経験を活かし、絵本ナビのサイト内だけではなく新聞・雑誌・テレビ・インターネット等の各種メディアで「子育て」「絵本」をキーワードとした情報を発信している。著書に『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)、監修に『父母&保育園の先生おすすめの赤ちゃん絵本200冊』『父母&保育園の先生おすすめのシリーズ絵本200冊』(玄光社)がある。