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絵本紹介

2022.12.17

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どんな時も、どんな場所にいても。『たびする木馬』【NEXTプラチナブック】

絵本ナビがおすすめする「NEXTプラチナブック」(2022年11月選定)から、ご紹介する一冊はこちら!

ブランはとうとうひとりぼっちに。けれど、ふたたび目をさました時に見た景色は? 毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介する絵本は、『たびする木馬』。メリーゴーラウンドの白馬「ブラン」の視点で進む長い長い物語。どんな内容なのでしょう?

NEXTプラチナブックとは…?

絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。

そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。

どんな時も、どんな場所にいても。『たびする木馬』

楽しいことも、悲しいことも

  • たびする木馬

    みどころ

    ずっと遠いある国で生まれた木馬、ブラン。背中に男の子を乗せ、音楽に合わせ回りだすと、景色は色の線にかわり、まるで空を飛んでいるかのよう。そんな時、ブランは幸せな気持ちになるのです。

    やがてメリーゴーラウンドに人が来なくなると、兄弟の木馬と離れて小さな遊園地へ。女の子が頭につけてくれたリボンが古くなった頃、さらに小さな村を転々とまわり、お祭りの衣装を着せられたり、結婚式で走ったり、あるいは乱暴な子どもにキズをつけられたり。ブランを愛する老人に引きとられ、おだやかな時間を過ごしたことも。そのうち時が経つと、ブランはとうとうひとりぼっちになり……。

木馬の名前は「ブラン」。最初の遊園地で、毎週のように乗りにやってくる男の子が名付けてくれたのです。その幸せな出会いにも、やがてお別れの時が訪れます。

どんな時も耳をピンと立て、前を向いて走り続ける美しい木馬ブランを中心に、ぐるぐると変わっていく背景。その長く淡々とした時間の中で、ブランは何を思うのでしょう。楽しかった場所を離れるさびしさ、次の場所へ向かう時の期待、ひとりで過ごす静かな時間。それでも新たな幸せを見つけていくブランの姿を、読者は見守り続けるのです。

現代美術家としても活躍されている牡丹靖佳さんの生み出す絵本は、どこか儚げだけれど、その物語は不思議と強く印象に残ります。木漏れ日の様な淡い色で彩られたブランの旅もまた、私たちの記憶にしっかりと残っていくのでしょう。

編集長のおすすめポイントは……

メリーゴーラウンドに乗っているような

木馬の姿を常に絵本の真ん中に据え、定点観測のようにすぎていく周りの景色。その物語をくりかえし読んでいるうちに、ブランを中心としたメリーゴーラウンドに乗っているような気持ちよさを感じることもできるのです。子どもたちは、次々に姿を変えていくブランに夢中になり、私たち大人は、どんな場所にいても同じように走り続けるブランの生き方に心を打たれてしまうのかもしれません。

この書籍を作った人

牡丹 靖佳

牡丹 靖佳 (ぼたんやすよし)

1971年大阪府生まれ。現代美術家。第4回セゾンアートプログラム 美術家助成受賞。財団法人野村国際文化財団 芸術文化助成受賞。ポロック・クラズナー財団 助成受賞。作品に、『おうさまのおひっこし』『ルソンバンの大奇術』(福音館書店)、『どろぼうのどろぼん』(作:斉藤 倫/福音館書店)、『めいわくなボール』(偕成社)、『ようこそロイドホテルへ』(作野坂 悦子/玉川大学出版部)などがある。

牡丹 靖佳 作品一覧

磯崎 園子(いそざき そのこ)

絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長として、絵本ナビコンテンツページの企画制作・インタビューなどを行っている。大手書店の絵本担当という前職の経験と、自身の子育て経験を活かし、絵本ナビのサイト内だけではなく新聞・雑誌・テレビ・インターネット等の各種メディアで「子育て」「絵本」をキーワードとした情報を発信している。著書に『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)、監修に『父母&保育園の先生おすすめの赤ちゃん絵本200冊』『父母&保育園の先生おすすめのシリーズ絵本200冊』(玄光社)がある。

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