日本語版刊行30周年♪想いのつよさをくらべっこ♥
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インタビュー
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2024.12.12
ネコ好きな皆さんは、どんなネコの柄が好きですか? ミケ? ハチワレ? ブチ? トラ? どんな模様が好きか選べない!という方も、もしかしたらこの絵本の中に好きな柄のネコと出会えるかもしれません。だって、100匹もネコがいるんですから!
ネコ好きな絵本作家・古沢たつおさんが「ネコを描きたい!」という思いの丈をページの隅々まで込めた「100ぴきかぞく」シリーズ。最新作『100ぴきかぞく すいぞくかんへいく』では、100匹のネコがにぎやかに水族館へ遊びに行きます。
そして同じ時期に発売されたのがスピンオフ作品となる『ピンクとキイロ』。「100ぴきかぞく」の中からピンク色が好きな「ピンク」とバナナが好きな「キイロ」を主人公にした絵本です。読むのはとっても楽しいけれど、描くのはとっても大変そうな「100ぴきかぞく」シリーズがどのように生まれたのか、古沢たつおさんにお話しを伺いました。
出版社からの内容紹介
100ぴきの個性的なねこ一家が今回は水族館へ!みんなでなかよくお魚をみたり
イルカショーに大はしゃぎしたり!100ぴきの中からお気に入りを探すのも楽しい「100ぴきかぞく」待望の第3弾です!
この人にインタビューしました
東京都生まれ。絵本のワークショップあとさき塾で学ぶ。主な作品に「クヌギくんのぼうし」(風濤社)「おしゃれなからすガラフィーさん」(おはなしプーカ・学研)お散歩と、猫が好き。
───シリーズ三作目『100ぴきかぞく すいぞくかんへいく』の発売、おめでとうございます。とにかくどのページにも100匹のネコがいて、それぞれが水族館を舞台に船に乗ったり、生き物を見たり、ランチを食べたり……。やっていることはだれもが体験したことのあるはずですが、なにしろ100匹いるとみんなそれぞれ個性的! いったいどうして、100匹のネコを主人公にした絵本を作ろうと思ったのですか?
ありがとうございます。みなさまからの応援をいただき『100ぴきかぞく』も三作目を出すことができました。
幼い頃からずっと、数匹の猫たちと暮らしていました。飼っていた猫たちは人間と同じで一匹一匹性格が違うんです。すぐに怒る短気な子もいれば、甘えん坊な子、おっとりとしたのんびり屋さんがいたりと、本当に性格も様々でおもしろいんです。でもひとつだけ同じなのは、猫どうし相手を思いやる優しさでした。あとからやって来た子猫も、みんなでちゃんと面倒を見てくれる。
こんなにも優しくて個性豊かな猫達が、見開きにビッシリと描き込まれた物語を作れたらきっと楽しいだろうなぁと思いました。この大家族はどんな家に住んでいるのか、お出かけしてみんなで電車に乗ったら満員になるだろうなとか、乗り換えも大変だろうななど、想像が膨らんでいったのです。
───100匹のネコにそれぞれに個性を持たせるのはとても大変な作業のように思います。古沢さんが最初に思いついたネコはどのネコですか?
一番に思いついたのは「キイロ」です。僕がバナナが大好きなので、いつもバナナを持っている黄色い服を着たネコが思い浮かびました。名前をキイロと名付けたら、今度は色の名前のネコがいてもいいなと思い、僕自身が子どもの頃にピンク色が好きだったことから、同じピンク色が好きなネコを思い付き、「ピンク」と名付けました。
─── では、100匹に絞る中で、泣く泣く家族にすることを断念したネコはいますか?
泣く泣く断念したネコは黒色のネコです。とても可愛いのですが、パっと目に入ってきて主役のように目立ってしまうのです。この絵本は100匹みんなが主役なので、読者のみなさんには自らお気に入りを見つけて、読み進めていただきたいと思ったからです。
───古沢さんの中で、一作目の『100ぴきかぞく』の時はそれほど意識していなかったけれど、二作目、三作目と作る中で、読者の人気が高いなと感じる子はどの子ですか?
人気が高いと感じるのは「ネム」と「キイロ」です。ネムはとにかくいつも眠い。眠いから必ず誰かが面倒を見ています。「電車の乗り換えにハラハラして目が離せなかった」と言ってくださった読者の方もいました(笑)。
───ご自身の中で一作目より愛着が生まれた子はいますか?
最近の僕のお気に入りは「プン」です。プンはおこりんぼなのですが、先ほどのネムに、怒りながらも膝を貸してあげるなど優しい一面もあるんです。読者の方からも、そんなプンがお気に入りと言ってくださる方がちらほら増えてきて嬉しいです。妻もプンが気に入っているようです(笑)
───どのページにも100匹のネコを描くということは、想像しただけでもとても大変だと思います。編集者さんからお聞きしたのですが、絵が完成した後に、すべての子がいるか、柄に間違いがないか、書店員さんなどにお願いして、みんなで一緒に確認するそうですね。古沢さん自身が「100ぴきかぞく」を描き分けるために行っていること、気を付けていることを教えてください。
書店員の皆さまには、毎回本当に感謝しております! みんなの個性を考えながら、何をさせるか、必ず仲の良い子が何匹かいるので、どの子と一緒にいるか、この場所ではきっとこうしているだろう、などを考えながら描き分けています。
着色する時は、まずネコ達の柄だけを塗りはじめます。ネコたちの柄は似ているようで全て違うので大変ですが、白黒の絵から色が入ってくると、ネコたちが活き活きとしてくるような気がして楽しくなります。
全員の柄を塗り終えたら、そのあと洋服、持っている物の順番で塗っていきます。
一匹一匹を何度も確認しながら描き進めていますが、どうしても尻尾に柄が入ってなかったり、手のひらの肉球がなかったり、細かいチェックは僕ひとりでは行き届かないところがあるので、みなさんに助けていただきました。
───『100ぴきかぞく すいぞくかんへいく』では、100ぴきかぞくが島の小さな水族館へ船に乗って向かいます。この水族館にはモデルがあるのでしょうか?
こんな水族館があったらいいなと思う気持ちを含めて描きました。海の中に建っているところが「下田海中水族館」のイメージに近いかもしれません。国内から海外まで、いろいろな水族館の資料をたくさん見て参考にしました。
トンネルを歩くシーンでは、生き物たちが水槽の中で泳いでいるのではなく、ネコたちが海の中のトンネルを歩くスタイルにしました。解放されたステージでは、イルカたちがいつも海から遊びにやってきて、得意な技を披露するショーをしてくれるんです。
─── 古沢さんがよく足を運んだ水族館や、好きな水族館を教えてください。
好きな水族館は「江の島水族館(現 新江の島水族館)」「下田海中水族館」です。幼い頃はよく「鴨川水族館(現 鴨川シーワールド)」へ連れて行ってもらいました。おおきなシャチが好きになり、お土産のぬいぐるみを大切に持って帰った記憶があります。
───『100ぴきかぞく すいぞくかんへいく』の中で、描いていて特に楽しかった生き物のページはありますか? また思っていたよりも描くのが大変だったページはありますか?
水族館のおはなしを描こうと決めた時から、大きくて優雅に泳ぐジンベイザメを描くのが楽しみでした。大変だったことは、ジンベイザメと一緒に泳ぐイワシの大群を一匹一匹描いたことです(笑)。何匹いるのか数えておりませんが、今度数えてみようかと思います。
─── イルカショーでレインコートを着ているページは、これまでの作品の中でも特にどの子がどこにいるか探すのが難しいページなのではと思います。読者が楽しみながらも「どこ〜?」と困惑する声が聞こえてきそうなこのページを描くのは楽しかったですか?
子どもの頃に訪れた水族館で、イルカの水かけショーがありました。全身びっしょりになって、とても楽しかった記憶が残っており、ネコたちにも経験してもらいたいと思い描きました。
一作目でスモッグを着たり、お風呂に入るシーンがあるのですが、目印だった洋服が無くなり探すのが大変だったけど、とても楽しかったとみなさんに言っていただけたので、今回も探すのが少し難しいページを作り、お揃いの黄色いレインコートを着せてみました。
レインコートを着ていても、お気に入りの物を持っていたり、いつも一緒にいる仲良しの子といるので、見つけるヒントはいろいろ盛り込みました。ぜひチャレンジしてみてください!
─── 一作目ではおじいちゃん、おばあちゃんの家、二作目では遊園地、そして三作目では水族館ととってもアクティブな「100ぴきかぞく」。次はどんなところにお出かけするのか楽しみです。古沢さんの中で、どこに連れていきたいな、など考えてらっしゃいますか?
今後も遊園地や水族館のようにレジャーへ行きたいと思ってます。博物館や美術館のように、何かを鑑賞しに出かけるのもいいですね。あと買い物へ行くのも楽しそうですし、行きたいところは沢山あります。100匹みんなで出かければ、どこでも特別な場所になるんだろうなと思います。
出版社からの内容紹介
「100ぴきかぞく」の、ピンクが好きな「ピンク」とバナナが好きな「キイロ」。それぞれの性格や好きなモノ、どんな生活を送っているのかなど…。読めば「100ぴきかぞく」がもっと楽しくなる、2ひきの毎日を描いた「100ぴきかぞく」スピンオフ絵本。
───「100ぴきかぞく」の中から、2匹が飛び出して絵本になったスピンオフ作品『ピンクとキイロ』。こういう作品の作り方もあるのか! と驚きました。どのような経緯で、この2匹を主人公におはなしを作ろうと思ったのですか?
一作目を作った後から、キャラクターに重点をおいた絵本を作りたいとずっと思っていました。担当編集者さんからスピンオフをやってみませんか?とお誘いをいただいた時はとても嬉しかったですね。ピンクとキイロを主人公に選んだのは、一番に思い付いたネコだからです。そして「100ぴきかぞく」を知らなくても、好きな色のことや好きな食べ物の事についてのおはなしであれば、共感を持っていただけるかなと思いました。
───「ピンク」と「キイロ」なので、どちらも色から名前が付いたのかなと思ったら、なんと「キイロ」はバナナが好きだという、ちょっと驚きの設定。好きなものは違うけど、とても仲良しな2匹の様子は見ていてとてもほっこりします。ピンク色が好きな子、バナナが好きな子は小さい子の中にも多いから、きっと「私と一緒!」と共感する子もたくさんいらっしゃると思います。「ピンク」と「キイロ」にはモデルはいるのでしょうか?
バナナもピンク色も、どちらも僕が好きな物を描いているので、特にモデルがいたわけではないのですが、小学校の友だちに好きな物を隠さず好きとはっきり言える子がいて、かっこいいなとあこがれた記憶があります。
───「100ぴきかぞく」と異なり、2匹にぐっとフォーカスをあてた作品を作る上で、意外と大変だったところ、想像と違っていたところはありますか?
「100ぴきかぞく」では、描かれているネコたちの行動や仕草から、みなさんに性格を想像して読んでいただきたいと思っているので、あえてネコたちみんなの性格を説明しないようにしていました。一作目から読んでいただいている読者のみなさんには、思い描いていらっしゃるピンクとキイロの個性があると思うので、説明しすぎてイメージを壊さないように気をつけました。
───このようなスピンオフ作品が生まれると「次はどの子が主人公になるのかな?」と予想したり、「私の好きな子は主人公になるかな?」とワクワクする読者がたくさんいると思います。古沢さんの中で、次の主人公にしたいと考えている子はいますか?
今回は2匹のペアでしたが、「モフ」「フカ」「ホカ」などの3びきのトリオも可愛いかなと思っています。ただいま「推しキャラ投票」を開催しているので(2025年1月末まで)みなさんからの投票結果もこれから参考にしたいと思っています。
───最後に絵本ナビユーザーへ「100ぴきかぞく」シリーズ、そしてスピンオフ作品『ピンクとキイロ』をどのように楽しんでほしいか、メッセージをお願いします。
「100ぴきかぞく」は、一匹一匹にストーリーがあり、何度も楽しんでいただけるように、とてもシンプルなおはなしにしています。
初めて読む時はストーリーに沿って。2回目はお気に入りのネコを選んで追って読む。次は「お気に入りのネコの隣にいる仲良しのネコは何してる?」など、一人でも家族やお友達と一緒にでも、わいわいとおしゃべりしながら楽しめる絵本になってくれたらいいなと思っています。
ちなみに新刊の「すいぞくかん」でのおすすめネコは「ドージ」です。ドージはいつも転んだり落とし物をする、おっちょこちょいなネコです。今回もいろいろなドジっぷりを披露しております。そして、それをしっかりフォローしてあげる「ソナエ」にも注目して欲しいです。
『ピンクとキイロ』では、みんな好きな物は違っていいし、何を好きになってもいいんだという気持ちを、まっすぐシンプルに描きました。
ピンクの好きなピンク色には、どんな物があるんだろう? キイロはバナナをどのくらい食べているんだろう? 読み終わったあとに、ピンクとキイロの事が好きになって、「100ぴきかぞく」で2匹はどんな事をしているのか、探していただけたら嬉しいです。
───お話を伺って、一匹一匹のネコをもっとしっかり見ながら絵本を楽しみたいと思いました。今日はありがとうございました。
『100ぴきかぞく すいぞくかんへいく』原画や、オリジナル作品を展示。
また「100ぴきかぞく」のてぬぐい、マスキングテープ、クリアファイル、アクリルキーホルダーなどグッズも販売します!
【場所】ひるねこBOOKS
【日時】2024年12月19日〜2025年1月9日
12:00〜20:00
※会期中、火曜日定休
※土日祝日は、18:30まで
※年末年始のお休みあり
※最終日1月9日(木)は、16:00まで