世界26か国の食べものを紹介した、楽しい大判絵本!
絵本紹介
2021.06.14
かぜと手をつないで、みんなと空を見上げれば……。毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信を持っておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介するのは、『おひさま わらった』。ひときわ目を引く真っ青な表紙。手に取ってめくれば、そこには眩しいばかりの黄色いページが広がって。さて、どんなお話が始まるのでしょう?
NEXTプラチナブックとは?
絵本ナビでは、寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。
そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。
3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。
みどころ
かぜとさんぽ、森には誰がいるのかな。
虫たちがひそひそ話し、花たちがゆれ、ちょうちょも一緒に踊ってる。ぴょんと跳ねたかえるにつられて地面を進めば、そこにもまた知らない生きものたちがうごめいて、目がひっぱられる。
慌てて走り込んだ森の道では、大きな木々や鳥たちのさえずりに包まれて。あ、飛んだ! 空一面にはばたく鳥たちを見ていると、なんだか空と手をつないでいるみたい。わたしもかぜと手をつないで、みんなと空を見上げれば、そこでわらっていたのは……。
ブラチスラバ世界絵本原画展受賞作家きくちちきさんの新作絵本は、木版画で描かれた「いのちのつながり」。青、赤、黄、黒、それぞれの色が生き生きとし、ある時は単体で、ある時は重なり合い、美しい景色となって目に飛び込んできます。それはまるで、お話の中の生きものたちの様でもあり、読む人の感覚を刺激します。作者が丁寧に時間をかけて作品と向き合った時間は、そのまま絵本の中でも対話となって伝わってくるのでしょうか。
クライマックスでみんなに注がれる「おひさま」の光。どこまでも広く明るいそのページを眺めていると、出会ったことのない誰かと、自分もつながっているような気持ちになってくるのです。心躍る春の絵本、美しい1冊です。
自分はひとりではないと感じることができる
美しい装丁の絵本を手に取り、紙質を感じながら、登場する虫や植物、すべての生き物と対話をし。明るく輝く色にうっとりしながら、絵本の中の世界へ引っぱり込まれていく。そして気が付けば、自分はもしかしたらひとりではないのかも、と感じることができている。
この体験に、大人も子どもも関係ないのかもしれませんよね。早くみんなで手をつなぎたいものです。
この書籍を作った人
1975年北海道生まれ。絵本作家。繊細さと大胆さを併せ持つ作風が編集者の注目を集めるようになり、2012年『しろねこくろねこ』(学研)『やまねこのおはなし』(作・どいかや/イーストプレス)でデビュー。『ぼくだよぼくだよ』(理論社)など。2013年ブラティスラヴァ世界絵本原画展(BIB)にて『しろねこくろねこ』が金のりんご賞を受賞する。
磯崎 園子(いそざき そのこ)
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長として、絵本ナビコンテンツページの企画制作・インタビューなどを行っている。大手書店の絵本担当という前職の経験と、自身の子育て経験を活かし、絵本ナビのサイト内だけではなく新聞・雑誌・テレビ・インターネット等の各種メディアで「子育て」「絵本」をキーワードとした情報を発信している。著書に『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)がある。