ディズニープリンセス じぶんもまわりもしあわせにする おやくそくブック(Gakken)
SNSで話題!すてきな大人になるために大切にしたい「おやくそく」を紹介する絵本。
- 学べる
- 役立つ
絵本紹介
2021.09.16
「楽園のむこうがわ」とは、一体どこをさしているのか。毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介するのは『楽園のむこうがわ』。カヤックに乗った少年二人が島に上陸したところから描かれるこの絵本。同時に二つの物語が始まるのです。どんな内容なのでしょう?
NEXTプラチナブックとは…?
絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。
そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。
みどころ
「楽園のむこうがわ」とは、一体どこをさしているのか。
物語は、カヤックに乗った少年二人が島に上陸したところから。それぞれの方法で森と向き合い、それぞれの物語が同時に始まるのです。ひとりは、島の少女と一緒に協力しながら、森と調和したささやかな家づくりを。もうひとりは、周辺の木を切り倒し、あっという間に場所を確保、都会的な家を。
一方では、時々やってくる友達と海水浴やキャンプファイヤーをしながら過ごし。もう一方では、海の見えるプールを作り、大勢の人たちとダンスパーティーで盛り上がり。やがてクリスマスを迎え、あっという間に1年が経ち、また春がやってくる。
右と左で画面を分け、同じ視点から眺める二つの時間。同じ条件で始まっているはずの場所は、あっという間に全く違う景色に変わっていく。
絵本から発する言葉はほんのわずか。それでも、はっきりと見えてくるのは、圧倒的に違う最終地点。人は森とどう向き合い、どう暮らしていくのが理想なのか。俯瞰の景色で見せるからこそ、読者はそれを冷静な気持ちのまま受け取らざるを得ない。なんて不思議な絵本だろう。
作者は、パリで活躍する注目の若き日本人アーティスト、ノリタケ・ユキコさん。共感する部分は人それぞれだとしても、そのどちらも存分に美しく魅力的に描かれ、どちらかを一方的に否定する気にはなれないのである。さあ、困った。私たちは、この絵本何度でも開き、まだ見えぬ「むこうがわ」を探しつづけていくのです。
じっと見ているだけでも…
最初に見えてくるのは、美しく並んだ二つの森の景色。じっと見ていると、そこに人がいて、動いているのが見えてきて。やがて、彼らが何かを作り出し。二つの違う暮らしが浮かび上がってくる。それをじっと見ているだけでも、時間は過ぎていく。一見、シンプルに描かれているようでいて、それほど魅力的な絵なのです。ところが、確かに何かが引っかかる。読み終われば、それを考えずにはいられなくなるのです。やっぱり不思議な存在感のある絵本です。
この書籍を作った人
この書籍を作った人
訳書に、アントワネット・ポーティス作『まって』(日本絵本賞翻訳絵本賞:あすなろ書房)など。
磯崎 園子(いそざき そのこ)
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長として、絵本ナビコンテンツページの企画制作・インタビューなどを行っている。大手書店の絵本担当という前職の経験と、自身の子育て経験を活かし、絵本ナビのサイト内だけではなく新聞・雑誌・テレビ・インターネット等の各種メディアで「子育て」「絵本」をキーワードとした情報を発信している。著書に『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)がある。