●『なぞなぞのみせ』誕生のヒミツ!
─── この商店街はなかざわさんの地元なんですよね。一緒にお店を回らせていただいたんですが、商店街の皆さん、本当になかざわさんと『なぞなぞのみせ』が大好きですよね。
絵を描かせてもらってから2年くらいたつんですが、まだ絵本になっていないときからずっと応援してくれていて…。この絵本が出てからしばらくして、近くの図書館で原画展をやったんですが、そのときにも足を運んでくださったんです。
─── なかざわさんはこの『なぞなぞのみせ』がご自身の絵本作家デビュー作ですよね。どのような経緯でこの絵本が生まれたんですか?
絵本のお仕事をいただく前に、雑誌『MOE』(白泉社)のイラスト投稿のページに4枚組の絵を載せていただいたんです。その絵を見て、今回の担当者さんから連絡をいただきました。
─── 最初からなぞなぞの話にしようと決まっていたんですか?
はい。最初の打ち合わせでは、担当者さんからどんなものを描きたいかを聞かれました。でも、まだ何が描きたいか決まっていなくて、迷っていたら、「お店、好きですか?」って聞かれたんです。「はい。好きです」と答えると、まずはお店を描いてみて絵本の種を探すことになりました。
─── そのときから商店街のお店を描こうと思っていたんですか
担当者さんと、どのお店を描くか相談して決めたのですが、「本屋さん」「文房具屋さん」「おもちゃ屋さん」と候補が決まっていく中で、「あれ?近所にお店があるかも。…お願いしてみようかな」って思いました。
─── お店に絵本のモデルをお願いするときは緊張しませんでしたか?
緊張しました。元々私も子供の頃からお世話になっているお店も多かったので、思ったよりも快く受け入れてくださいました。ちょっと警戒されていた方も、「絵を描いてるんです」って言ったらぱあっと表情が明るくなっていろいろ話してくれたり、プレゼントしたポストカードをずっと大事にしてくれていたり、今は地元の温かさをじわじわと感じています。
─── なぞなぞはどの時期に決まったんですか?
具体的に絵とくみあわさるなぞなぞがきまってきたのは、私がお店の取材を終えて、ラフを描き始めたくらいだったと思います。担当者さんが石津先生からいただいてストックしているなぞなぞからえらんだり、絵の中に出てくるもので新たになぞなぞを考えていただいたりしました。
─── 最初になぞなぞがあって絵を描いたのではなく、絵に出てくるものからなぞなぞを考えたんですか?
はい。絵が先なので、担当者さんといろんな要素を絵に詰め込もうって話し合いました。当初は1見開きに10問くらいなぞなぞを載せる予定で、絵の中にもモチーフを入れたんですが、あまり多すぎるのも読みにくくなると、最終的になぞなぞは5問になりました。
─── 絵が先だったから、それぞれ答えが絵に無理なく描かれているんですね! 絵本って最初に文章があるものだと思っていたので、そういう描き方もあるのはとても新鮮です。